「ご相談させていただきたく存じます」の意味とは？
「ご相談させていただきたく存じます」は、相手に何かしらの協力や意見、判断を求める際に使われる非常に丁寧な表現です。 「相談したい」という意思を、敬意を表しながら伝える表現にあたります。 「させていただく」は、謙譲語として「自分が何かをすることに対して相手の了承を乞う」意味があり、「存じます」は「思います」を丁寧にした言い回しです。
つまり、「ご相談させていただきたく存じます」と言うことで、「あなたのお時間や意見をお借りしたいと考えているのですが、よろしいでしょうか」というニュアンスを強く示すわけです。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの内容を上司に相談したいときや、取引先と今後の方針を協議したいときなど、改まった場面で相手に協力をお願いする場合に重宝されるフレーズです。 とりわけ、メールや正式な文書で「何かについて打ち合わせをしたい」と述べる際、シンプルな「相談したいです」よりも「ご相談させていただきたく存じます」を使うと、丁寧かつ敬意が伝わります。
なぜビジネスシーンで使われるのか
強い敬意と配慮を示すため
「相談」という行為は、相手の意見や手間を借りることを意味します。 ビジネス上では、上司や取引先、顧客など、目上や外部の相手に時間を割いてもらう必要があり、そこには配慮が欠かせません。 「ご相談させていただきたく存じます」は、「あなたの時間や知見を頂戴したいが、失礼にならないよう十分敬意を表しています」という意味合いを持つ表現です。 相手に対して尊重の念を抱きながら「意見や判断を仰ぎたい」という姿勢を示すことで、スムーズなコミュニケーションや好感度の高いやり取りを期待できるわけです。
オフィシャルな文書ややり取りに適している
「ご相談させていただきたく存じます」は、あまりに口語的な場面ではやや堅すぎるかもしれませんが、フォーマルなメールや会議資料などで使うと自然な丁寧さを演出できます。 例えば、商談の日程調整や企画の変更に関して相手の意見を聞きたい時に、このフレーズを用いると「こちらが話し合いをしたい理由」を品よく切り出せます。 単に「相談したいのですが」と述べるより、一歩上の丁寧度を示せる点がビジネスにおいて評価されるわけです。
ビジネスシーンでの具体的な使い方
メールでのアポイントやミーティング依頼
業務を進める上で、疑問点や決定事項を上司や取引先に確認したい場合に「ご相談させていただきたく存じます」というフレーズを使うと有効です。 たとえば「新しい企画案についてご相談させていただきたく存じますので、今週中にお時間を頂戴することは可能でしょうか」と書くと、相手に敬意を払いながら話し合いの場を提案できます。 この一文だけで「具体的に話をしたい内容があるが、そちらの都合を優先したい」という姿勢をきちんと示せます。
電話や対面での話し合いにおける前置き
対面で「ちょっと相談いいですか？」と言うより、「ご相談させていただきたく存じますが、今お時間よろしいでしょうか？」と切り出せば、相手に丁寧な印象を与えられます。 上司や取引先など、目上の相手に個別でアポイントをとる際には、このフレーズを起点に会話を始めるとスムーズです。 特に忙しい人に話しかける時は、敬意を示して相手のスケジュールを尊重していることを強調できます。
「ご相談させていただきたく存じます」を使う際の注意点
二重敬語の問題
「ご相談させていただく」は、いわゆる二重敬語に近い形だという意見もあります。 「相談する」に対して「ご」を付け、「させていただく」を重ねることで、敬語が重複しすぎるのではないかと議論されることがあります。 ただし、ビジネス上では「相談する→相談させていただく」や「見てもらう→ご覧いただく」といった表現が広く定着しています。 厳密に敬語ルールを重視するなら「ご相談申し上げたい」「ご相談できれば幸甚です」など別の表現を選ぶ手もありますが、実務上は「ご相談させていただきたく存じます」も自然に受け入れられています。
「何について相談したいのか」を明示する
「ご相談させていただきたく存じます」と述べるだけだと、相手は「一体何の相談？」と戸惑う恐れがあります。 ビジネスの場面では、相談したい内容の概要を簡潔に示すと良いでしょう。 たとえば「企画書の修正点についてご相談させていただきたく存じます」と書けば、「企画書の修正点」がテーマだと明確に伝わります。 相手も準備や心構えができるので、スムーズに会話へ移れるわけです。
類義語・言い換え表現
「ご相談をお願いできればと存じます」
「させていただく」の重なりを避けたい場合、「お願いできればと存じます」という表現に変えると、やや二重敬語の問題を薄められます。 「◯◯についてご相談をお願いできればと存じます」という言い方であれば、ほぼ同じ意味合いを伝えつつ、敬語の重複感を軽減できます。
「ご相談したく存じます」
さらにシンプルに「ご相談したく存じます」とする方法もあります。 「ご相談『させていただく』」を使わずに済むため、二重敬語が気になる方はこの形を検討するのもおすすめです。 ただし丁寧度はほぼ同じなので、相手や場面に応じて好みで使い分けると良いでしょう。
「ご意見を伺えれば幸甚です」
「相談したい」という意図を、もう少し別の形で示すのが「ご意見を伺えれば幸甚です」という言い回しです。 相談という形を間接的に表し、相手の判断やアドバイスを仰ぎたい意思を表せます。 「幸甚です」は「非常にありがたい」という意味なので、深い敬意を含みつつ会話を始められます。
ビジネスでの例文
例文1：上司への相談メール
◯◯部長
お疲れさまです。
新プロジェクトの進め方について、ご相談させていただきたく存じます。
現在、スケジュール調整とタスク割り振りで検討事項があるため、◯月◯日か◯月◯日のどちらかでお時間を頂戴できますでしょうか。
ご多忙のところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。
この例では「ご相談させていただきたく存じます」という丁寧なフレーズを使いつつ、どのような相談か（スケジュール調整やタスク割り振り）をコンパクトに説明しています。 また日時の候補を示すことで、相手が回答しやすい形になっています。
例文2：取引先へのメールで会議設定をお願いする
◯◯株式会社 ◯◯様
平素より大変お世話になっております。
新企画の要件定義に関し、ご相談させていただきたく存じます。
可能であれば来週中にオンライン会議のお時間を賜れますと助かります。
詳細は改めてご説明させていただきますので、日程のご都合をお伺いできますでしょうか。
何卒よろしくお願いいたします。
株式会社△△ 営業部 ◯◯
ここでは「ご相談させていただきたく存じます」を用い、相手の承諾を得ながらも、会議の具体的日程を引き出そうとしています。 相手の手間を考慮して礼儀正しく依頼する形となるため、印象がよくまとまります。
使い分けのポイント
相手や場面に合わせて敬語レベルを調節する
「ご相談させていただきたく存じます」はフォーマル度が高く、かしこまった印象を与えます。 フランクな社内コミュニケーションや仲の良い同僚への依頼なら、「相談したいと思ってるんだけど、いいかな？」程度で十分な場合もあります。 上司や取引先、公式のメールでは本フレーズを使い、内輪のやり取りではシンプルに表現するなど、TPOを意識して切り替えるのがコツです。
内容を先に述べてから結論に繋げる
例えば「新規案件に関するコスト見積もりについて」というように先にテーマを短く伝え、それから「ご相談させていただきたく存じます」と付け加えると、相手は「何を話すのか」イメージしやすくなります。 急に「ご相談させていただきたく存じますが…」とだけ言われると、相手は内容の察しにくさや準備不足につながる恐れがありますので、最初に少しでも要点を示すのが望ましいです。
まとめ
「ご相談させていただきたく存じます」は、ビジネスシーンで相手に協力や意見を求める際に用いられる非常に丁寧なフレーズです。 「相談」という動作に「ご」を付け、さらに「させていただく」「存じます」といった謙譲語や丁寧語を重ねることで、深い敬意を示しながら話し合いを切り出せるのが特徴といえます。
ただし、敬語を重ねているために二重敬語の問題が指摘されることもありますが、実務上では広く受け入れられている表現です。 使う場面では、相談したい内容の概要や日時などをできるだけ具体的に示し、相手がスムーズに応じられるよう配慮しておくのが大切です。 また、「ご相談をお願いできればと存じます」「ご相談したく存じます」「ご意見を伺えれば幸甚です」といった近い意味の言い換え表現も検討するとよいでしょう。
状況や相手との関係によって、よりシンプルな形やニュアンスの異なるフレーズを選ぶことで、違和感のないコミュニケーションを実現できます。 うまく活用すれば、ビジネスメールや口頭での依頼・打ち合わせの場が円滑に進み、互いの信頼を高める結果にも繋がるはずです。
