欧州

2025.01.09 09:00

「自殺同然」の車両突撃でなく徒歩で前進遂げるロシア軍、ウクライナは対抗に苦慮

Shutterstock.com

一方、ロシア軍が歩兵による突撃にシフトしてきたために、ウクライナ軍もまた、それに歩兵で対抗する圧力にさらされている。だが、全面戦争が4年目に入るなか、ウクライナ軍において最大の問題のひとつになっているのが、その歩兵の深刻な不足だ。
advertisement

ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者であるTatarigamiは、問題の責任はウクライナの指導部にあると指弾する。「ウクライナの指導者たちは、大規模な戦争は過去のものだと思い込み、戦時動員への準備を怠った。国民の支持と軍の増大するニーズのバランスをとろうとしたために、戦時中の動員をめぐる厳しい決断も遅れた」

損耗の補充や新たな部隊の編成のために十分な数の新兵を集めるのに苦労しているウクライナ軍では、一部の指揮官が窮余の策として、支援部隊から特技兵を引き抜き、歩兵として使い始めているという。Tatarigamiは「迫撃砲の要員、運転手、ドローン操縦士らが塹壕に入っている」と報告し、「これは支援部隊側を消耗させるし、(歩兵としての)訓練を受けていない兵士を戦闘に送り込むことになる」と懸念を示している。

皮肉なことに、ドローン部隊からの人員の引き抜きによって歩兵部隊を増強するというウクライナ軍の弥縫策は、ロシア軍に徒歩での攻撃を強いるようにさせた当の戦力を弱体化させてしまう危険をはらむ。ウクライナ軍の指揮官があまりに多くのドローン操縦士を歩兵として第一線の戦闘に送り込めば、不用意にもロシア軍による車両での突撃をより安全にしてしまいかねない。
advertisement

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事