108社のスタートアップを支援
ベゾスは1998年にグーグルに25万ドル(約4000万円)を出資して以来、少なくとも108社のスタートアップに個人で投資してきたとされている。彼の投資リターンの詳細は不明だが、ベゾスが2008年に出資したツイッターや2012年に出資したウーバー、さらに2009年に出資したと報じられているエアビーアンドビーを含む多くの企業がその後、新規株式公開(IPO)を果たしている。現在の保有資産が2410億ドル(約38兆円)で世界2位の富豪であるベゾスは、2021年にアマゾンのCEOを退任して会長職に移った後も、自身の投資ポートフォリオに関与している。ただし、一般的な大手のベンチャーキャピタルと比べれば彼の投資先への関与の度合いは低く、取締役会に席を持つことは稀であり、昨年はスイス・マイルへの資金調達ラウンドをリードしたのみだ。
フォーブスが話を聞いた2社によれば、「ベゾスの投資についてメディアと話すべきではない」との要請を彼の広報担当者から受けたとのことだったが、両社ともベゾスの関与を好意的に評価している。
スイス・マイルのビエロニックは、「ベゾスが、AIトレーニングの技術を非常によく理解していることに驚いた」と語り、彼が強化学習や模倣学習などのテクノロジーの詳細に関する知識を持っていると話した。一方、Skild AIのパサックは、特定の事柄への言及は避けつつも、ベゾスのチームと非常に緊密な関係を築き、ベゾス自身とも直接やりとりをしたと語った。
ベゾスの関与がどのようなものであるにせよ、彼から投資を受けたという事実は、新興のスタートアップにとってマーケティング面や会社の信頼度の面で大きなメリットとなる。
自律型ロボティクスの業界は、まだ商業化の初期段階であり、ビエロニックはこの市場を「ブルーオーシャン」と例え、10年後には多くの企業が失敗し、一部のみが成功するだろうと予想している。しかし、これまでのベゾスのビジネス手腕と、投資先を選定する能力を考えれば、彼の賭けが成功を収める可能性は高いと言える。
コロンビア・ビジネス・スクールのマイケル・エウェンズ教授は、「ベゾスのような人物に最初に声をかける企業は、特定の分野で最も注目される最高の企業のみだ」と指摘する。「ベゾスは、間違いなく優れた投資家と言える」と、エウェンズ教授は語った。
(forbes.com 原文)