「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」のアドバイザリーボード、受賞者による異例の特別対談。世代も職業も異なるふたりの「2025年のキーワード」はどのように新結合したのだろうか。
日本を代表する起業家・経営者と同じく日本を代表するお笑い芸人。このふたりの共通点は、世界を変える30歳未満30人の日本人を表彰する「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」である。LINEヤフー代表取締役会長・川邊健太郎はアドバイザリボード、令和ロマン・髙比良くるまは受賞者という関係性だ。対談前に「2025年のキーワード」をそれぞれ3つ挙げてもらったところ、川邊からは「繁栄」「瞑想」「推し活」、そして髙比良からは「大喜利力」「決めつけ」「宗教」と回答があった。異例の特別対談は、気になるキーワードから語り合うことから始まった。
川邊健太郎(以下、川邊):まず気になるのは「大喜利力」ですね。これはどうしてですか。
髙比良くるま(以下、くるま):お笑い芸人って、何か失敗してもエピソードトークにして嫌な気持ちを発散できるから幸せなやつが多いんです。でも、普通のお仕事だと失敗は発散にならないですよね。みんなが幸せに生きるためにお笑いの能力のなかでほかに何が使えるのか。そう考えたときに浮かんだのが「大喜利力」でした。
大喜利はお題からズレないようにしつつ、そこに創造性を加えて答える芸です。例えば「アホアホ高校の校則とは?」というお題があるとします。このとき「けんかしてOK」だと、ヤンキー高校の校則になってズレすぎてしまう。一方、「1時間目が給食」だと、きちんとアホアホで答えになっています。つまり大喜利とは、創造性のある問題解決。大喜利力がある人は、現実の問題に対してもユニークなやり方で解決したり、解決できないにしても悲観したりしないでいいのかなと。
川邊:説明を聞くと、大喜利力は人生を生き抜くために必要な力ですね。25年に向けてはどうでしょう。
くるま:僕は社会情勢に詳しくないですが、社会の「お題」がどんどんややこしくなってるじゃないですか。今までの解き方では通用しないから創造性が要るし、お題の意味をきちんとくみ取って答えないと、同じお題なのにみんなバラバラのお題に取り組むような状況になり、解決に向かわない気がしています。
川邊:確かに問題の複雑性は高くなっていますね。そういう意味では、「お題」を解く前に「今そのお題で合ってる?」と問うことが大事かもしれません。例えばビジネスで「来年の利益額をどうするか」という問題が出てきても、「いや、今解くべきは利益額じゃなくて利益率では?」と問題自体を疑うんです。そうしないと間違った課題を解くことになりかねませんから。