リーダーシップ

2025.01.10 15:15

日本で「グローバルエリート」は育つか? 早慶上智の若者たち9人に聞いた

Forbes JAPAN編集部に集まった現役大学生たちと筆者

長谷川:みなさんTOEFLibtを受けているようですね。地方には塾がない場合も多いと思いますが、独学で勉強していたひとはいますか?
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川崎健士朗(以降、川崎):僕は塾には通ったことがありません。静岡県の中高一貫校にいて、実は中学3年生まで英語は喋れなかったんです。でも高校の3年間でネイティブレベルまで上げて、TOEFLibtを受験してオックスフォード大学へ留学しました。例えば『英単語ターゲット1900』っていうのがあるんですけど、それを毎日ひとりで何時間もやっていた記憶があります。

ここで補足すると、今回の調査では浪人経験者は河合塾の早慶大コース、またAO入試ではルークス志塾に通っていた者が多かった。受験戦争に勝つための進学塾が地元にない場合は、塾が運営する寮に入っていたという学生もいる。こと語学に関しては主体性があれば独学でゼロからネイティブレベルまで語学力を引き揚げる生徒もいる。10代における語学の猛特訓は非常にタイムパフォーマンスがよく、筆者自身も中学時代に渡伊したときはイタリア語の知識は皆無だったが、大学入学時にはネイティブスピーカーになったという背景がある。こうした事例には事欠かない。
 

長谷川:みなさんの高校生活で有益だった活動はなんですか?
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榊紘史郎(以降、榊):僕は三重県津市の高校で、周囲はとてものんびりしていました。でもデジタル世代でよかったと思うのは、地方と都会ではいま情報量に差がないということなんです。高校時代はクイズ研究会に打ち込んでいたのですが、SNSを駆使しながら、全国に高い意識を持つ仲間たちをつくり刺激を貰うことができた。どんな田舎でもそんな風に突破口を見つけられると思います。
 


川崎:僕は静岡の高校時代からカーボンクレジットや環境問題に興味があって、早稲田大学からオックスフォード大学に一年留学しています。だいたい大学になると、日本脱出派か残留派が出てきます。僕はいまではすべての経験値を日本の未来に還元したい、日本を元気にしたいという思いがあるんです。

長谷川:坂口さんは国際高校の出身ですね。よく一般的に思い浮かぶのは、インターナショナルスクールとかアメリカンスクールですね。

坂口オスウェル大芽(以降、坂口):はい、UWC ISAK Japan(アイザック・ジャパン)というインターナショナルスクールです。UWCを通じて世界の隅々から生徒が集まっており、私はそんな環境で「日本人である意義」、つまりはグローバルステージで我々日本人が具体的に何を世界に提供できるのか、という疑問を追求していました。それで国際政治を学ぶため上智大学に入学し、来年はアメリカの大学へ行く予定です。

長谷川:UWC ISAKというのは富裕層しか行けないエリート教育校なのでしょうか?

坂口:いえ、生徒の半数以上が奨学金をもらっています。アイザック、そしてUWC加盟校は多様な人種や性別のみならず、様々な経済的背景から来る生徒を集めることで、多様な環境を実現しています。経験、信念、そして意見の相違から生まれる議論を重ねられたことが、自分にとってはこの上ない経験でした。
 

松元:あそこはグローバルエリート街道まっしぐらという印象があります。ケンブリッジ大学に留学した友人たちもUWCでしたよ。

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文=長谷川悠里 撮影=曽川拓哉 編集=石井節子

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