55歳を超えた労働者には、仕事が行き詰まって身動きが取れなくなり、現代の労働人口の中でどうにか成功しようと自己改革を試みている人が多い。2031年になると、米国では労働者の4人に1人が55歳を超える。そうした層に当てはまる人は、中年期において、自らのキャリアに適切であり続けるのは難しいかもしれない。
デロイトによると、全世界の労働力の32%をZ世代が占めるようになったことで、世代間格差が生じているほか、職場におけるエンゲージメント戦略を変える必要性が浮き彫りになっている。職場におけるエンゲージメントと生産性を維持するためには、Z世代と、その上の世代のあいだにある世代間ギャップを埋めることが極めて重要だ。
人材管理ソフトウェア会社のWorkForce Software(ワークフォース・ソフトウェア、現在はADP傘下)で最高カスタマーエクスペリエンス責任者を務めるサンドラ・モランによると、これからの職場は、画一的なアプローチでは維持できないという。
「企業や組織は、歴史上で初めて、5つの世代(1928~45年生まれの沈黙の世代、1946~64年生まれのベビーブーマー世代、1965~70年代生まれのX世代、80年代~90年代生まれのミレニアル世代とZ世代)が同時に働く状況に直面している。各世代が、独自の強みや考え方、モチベーションを職場にもたらしている」とモランは指摘する。
中年層が、職場で意味ある存在であり続けるには
オンラインコースを提供するUdemyが、ポッドキャスト番組『Midlife Fulfilled Podcast(中年層の充実のためのポッドキャスト)』と共同実施した最新調査『Thriving in Midlife: Survey Results on Fulfillment Across Key Life Pillars(中年層の活躍:人生を支える柱の充実度に関する調査結果)』は、プロフェッショナルとして成長するすべての段階で、より優れた働き手として役立つにはどうすればいいのかを考察している。この最新調査の主な結果を紹介しよう。
・企業リーダーは、従業員の昇進を検討する際に、中年層を見落としてはならない。中年層の従業員は、学ぼうという意欲をまだ失っておらず、78.5%が幅広い分野の専門知識を新たに身に着けようと積極的に学んでいる。調査では、49%がテック系スキルを、40%がコミュニケーションスキルを、49%がクリエイティブスキルを学んでいると回答した。
・中年層のプロフェッショナルは、幸福度より充実度を優先している。従って企業リーダーは、目的主導型のイニシアチブを取り入れ、充実度を高めればいい。今回の調査では、79.2%が「幸福度より充実度を優先する」と回答している。また、20.8%が「いまのキャリアは望んでいたものではない」と答えており、不満を覚えている人や、キャリア転換を望む人が潜在的にいることが示されている。
・職場における世代を超えたコラボレーションは、ビジネスの成功に不可欠だ。職場で年下世代の従業員と定期的にかかわったり協力したりしている、と答えた中年層は77.5%だった。
上記のような理由から、職場における世代間の隔たりを埋めることは重要だ。Z世代は、即時的なフィードバックや、柔軟な労働環境などを求めているが、そうした要求は、従来型のやり方と相容れないことが多い。そのため、職場での対立が悪化し、全般的な生産性が低下している。