杭州を拠点とするアリババは、2017年にオンラインとオフラインの小売事業を統合することを目指し、インタイムを26億ドル(約3990億円)で買収していた。
ビリオネアのジャック・マーが共同設立した同社は、インターネット技術を使って実店舗の小売を革新し、収益源を多様化する試みを行っていた。しかし、この計画は期待に応えることができず、アリババはコア事業であるEコマースに再び注力すると表明している。
「アリババはさらに資産を売却する可能性があり、投資家もすでにそれを予想しているかもしれない。現在の経営陣の目標は、アリババをインターネット企業に戻すことだ」と、上海を拠点とする調査企業86Researchのアナリストであるワン・シャオイェンは述べている。
ワンによればアリババは、2020年に36億ドル(約5500億円)で買収した台湾系小売りブランド、大潤発(RTマート)の株式も売却する可能性があるという。一方、生鮮食品事業の盒馬鮮生(Freshippo)については、まだ結論を出していない模様だという。
アリババは現在、中国経済の低迷を背景に、コストパフォーマンスの高い製品を提供することで成長を取り戻そうとしている。
同社の9月末までの四半期の売上高は、前年同期比5%増の337億ドル(約5兆2000億円)で、純利益は前年同期比63%増の63億ドル(約9700億円)に達していた。増益の主な要因は、前年同期に計上した投資先の損失などの影響がなくなったこととされた。ニューヨークと香港で二重上場するアリババの株価は年初からニューヨーク市場で15.1%高、香港市場で11.5%高となっている。
フォーブスは、2019年に同社の会長職を退いた共同創業者のマーが保有する資産を237億ドル(約3兆6400億円)と試算し、彼を中国で8番目の富豪としている。
昨年12月にCEOに就任したエディ・ウー(呉泳銘)が率いるアリババは、将来に対する自信を繰り返し表明している。11月に開催されたアナリスト向けカンファレンスの中で、ウーは中国政府の景気刺激策とその影響に楽観的な見方を示していた。86Researchのワンは、来年にはマクロ経済の改善に伴い、アリババの成長が再び加速すると予想しており、特にクラウド事業が最初に2桁台の成長に戻ると述べている。
(forbes.com 原文)