しかし、世界の一部の地域では、歴史的な進展も見られている。10月時点で、国連加盟国の3分の1が女性リーダーになったことがなかったが、現状の女性リーダーのうち9人が自国で初めての女性指導者となっている。
注目の女性リーダー
その代表例が、2024年6月の総選挙で圧勝し、10月にメキシコ初の女性リーダーとなったシェインバウム大統領だ。ランキングの4位に初登場した彼女は、6月に行われたメキシコ大統領選に与党の左派政党「国家再生運動」から立候補し、野党の候補に大差をつけて当選した。人口1億3000万人の国のトップに就任したシェインバウム大統領は今後、GDP(国内総生産)が1兆7000億ドル(約260兆円)のメキシコ経済を率いていくことになるが、就任からわずか2カ月でドナルド・トランプによる関税の引き上げの脅威に正面から立ち向かい、次期大統領のトランプにとって最も声高なライバルの1人となっている。
さらに、中部アフリカのコンゴ民主共和国でも、6月に史上初の女性首相が就任した。前任者のフェリックス・チセケディ大統領によって首相に任命されたジュディス・スミンワ・トゥルカ(57)は、暴力と不安定な政治状況を受けて、国内避難民の数が720万人に達すると推定されるこの国の新たなリーダーに就任した。彼女は、11月下旬に避難民との対話を行い、支援を約束した。トゥルカは、今年のランキングの77位に初登場した。
また、タイでは8月に憲法裁判所が前任のスレッタ・タビシンを解任し、ペートンタン・シナワット首相(38)が第31代首相に就任する道を開いた。タイ史上最年少の首相となった彼女は、今年のランキングの29位に入った。ペートンタン首相は、2001年から2006年まで首相を務めたタクシン・シナワット元首相の末娘で、2011年から2016年までタイ初の女性首相を務めたインラック・シナワトラ元首相の姪でもある。
もう1人の新たな女性リーダーは、6月のアイスランドの大統領選で勝利した実業家のハッラ・トーマスドッティル大統領(56)だ。同国では首相に実権があり、大統領は象徴的な性格が強いとされているが、アイスランド史上2人目の女性大統領となった彼女は、93位にランクインした。