シナトラが発表した楽曲のいくつかは、彼との競演など予想もできなかったようなアーティストと組んで制作されたという点で際立ち、特に注目に値する。そしてこのクルーナー(低く抑えた声で優しく語りかけるように歌う男性歌手)は、どんな異色の組み合わせでも問題にせず、常にすばらしい作品に仕上げてきた。
今週、そのような珍しい組み合わせによるデュエット曲の1つが米国で再びヒットチャートに登場した。シナトラの歌った『Santa Claus Is Coming To Town(サンタが街にやってくる)』が、ビルボードのラジオランキングの1つに返り咲いたのだ。そして、それはシナトラが1人で歌っている曲ではない。
この『Santa Claus Is Coming To Town』は、シナトラが米国の女性シンガーソングライターであるシンディ・ローパーとデュエットした曲で、現在ビルボードの「Holiday Airplay(ホリデー・エアプレイ)」チャートにランクインしている。このチャートは、11月と12月にクリスマスソングを専門に流すラジオ局を通じて、米国で最も多くの聴衆に聴かれた曲を調べて順位付けしたものだ。
シナトラとローパーは現在、Holiday Airplayチャートの43位に位置している。トップ40圏外とはいえ、今後も長くこの順位で留まるとは限らない。クリスマスシーズンはまだ始まったばかりであり、これからもっと多くの米国人(とラジオ局)のクリスマス気分が盛り上がるにつれて、2人の曲が順位を上げられる可能性は十分にある。
2人が順位を大きく上げること(または上げる可能性)を妨げるものは、この時期にラジオの電波に乗ることを競い合っているクリスマスソングの数が非常に多いことだ。シナトラは音楽史における最大のスターの一人かもしれないが、同様にクリスマスの楽曲を出している他の多くの強豪たちとまだまだ競わなければならない。今のところ、シナトラ自身が歌っている別の陽気な曲にも順位で負けている。
シナトラは今週のHoliday Airplayチャートにもう一曲ランクインさせている。「Jingle Bells(ジングルベル)」はシナトラと並んでオーケストラ&コーラスの指揮・編曲を担当したゴードン・ジェンキンスの名前もクレジットされているが、今週はわずかに順位を下げたものの、ローパーとの共作を上回っている。この曲の順位は1つ下がって13位となったが、今後の数週間でトップ10に入る可能性は十分にある。
シナトラとローパーが『Santa Claus Is Coming To Town』をリリースしたのは1992年、シナトラがこの世を去るわずか数年前のことだ。この曲が収録されている『A Very Special Christmas 2』(日本版のタイトルは『クリスマス・エイド2』)は、スペシャルオリンピックス(知的障害のある人たちに、日常的なスポーツトレーニングと成果の発表の場である競技会を年間を通じて提供し、社会参加を応援する国際的なスポーツ組織)の資金調達を支援するために制作された。このチャリティアルバムには、他にもトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、ルーサー・ヴァンドロス、ジョン・ボン・ジョヴィ、アレサ・フランクリンなど多くのスターが参加している。
(forbes.com 原文)