フランス、イタリア、スペイン、北米、ジョージアなど世界各地から87の生産者と500種類以上のワインが集結。世界最大級の自然派ワインの祭典を主宰するイザベル・レジュロンに、Raw Wineの現在地と展望について聞いた。
拡大を続ける自然派ワインのネットワーク
Raw Wineは、ニューヨークをはじめ、ロンドン、パリ、モントリオールなどの欧米8都市で定期的に開催されてきた自然派ワインに特化した試飲会だ。2012年、世界的な自然派ワインブームに先駆けてロンドンで始動し、年々規模を拡大。今年はアジア市場展開も始め、5月には東京で初開催。その入場券は他都市を上回る速さで完売した。来年は上海にも進出予定だ。主宰のイザベル・レジュロンは、フランス初の女性マスター・オブ・ワイン(世界最難関のワイン資格保持者)で、レジオン・ドヌール勲章(文化の功労者に与えられるフランスの最高勲章)を受章した人物。ワイン業界に関する幅広い知識を持つ一方で、生産量全体の1%未満にすぎない自然派ワインの普及に尽力。著書『自然派ワイン入門』は日本語版も出版されている。
Raw Wineの母体は英国に拠点を置くThat Crazy French Woman Limited社。「あのクレイジーなフランス人女性」を意味する社名は、レジュロンの個性と業績を象徴している。リアルイベントに加え、デジタル展開にも力を入れる。自然派ワインの生産者情報データベースとオンラインストア(現在は英国市場限定)を提供するデジタルプラットフォームのユニークユーザー数は1日5万人を超える。
今年のニューヨーク開催では1075人が来場。そのうち65%がソムリエ、輸入業者、レストラン、小売業者などの業界関係者。商談の場としての機能を果たす一方、一般消費者が生産者と直接交流し、農業やワイン作りについて学ぶ場でもある。「ワインショップのような場所で農業のことを伝えるのは難しいから」とレジュロンは語る。