この痛ましい統計は、2024年11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に国連から発表された。1999年の国連決議で定められたこの国際デーは、女性や女児に対する暴力の問題を啓発し、これに対抗するためのより効果的な行動を呼びかけることを目的としている。現在では、この日から12月10日の「人権デー」までの「女性に対する暴力撤廃の16日間の行動期間」や、UNiTEキャンペーン(2030年までに女性に対する暴力を撤廃するキャンペーン)も取り入れ、時を経て世界的に広範な取り組みへと発展してきた。しかしながら、新たな報告が示唆するように、女性や女児に対する暴力は、フェミサイド(相手が女性であることを理由にした故意の殺人)を含め、依然として世界的に蔓延している。
2024年11月25日、UN Women(UNウィメン)と国連薬物犯罪事務所は「2023年のフェミサイド:親密なパートナーまたは家族によるフェミサイドの世界的推定」と題した報告書を発表した。フェミサイドは、女性や女児に対する暴力の最も残忍で極端な現れだ。性別が関連した動機によるこのような殺人は、性別による役割に対する固定観念、女性や女児への差別、男女の不均衡な力関係、有害な社会規範によって引き起こされることが多い。この問題に対する意識がますます高まっているにもかかわらず、フェミサイドは至る所で発生し続けている。
今回の新たな報告書によると、2023年だけでも世界で8万5000人の女性や女児が故意に殺害されたという。これらの殺人のうち約60%に相当する5万1100件が、親密なパートナーまたは家族によるものだった。このデータは、毎日140人の女性や女児が、彼女たちのパートナーまたは近親者の手で命を絶たれていることを示しており、それは10分間に1人の割合で、女性や女児が殺されていることを意味する。
新しいデータには、この暴力の極端な形態と無縁な地域はないことが示唆されている。フェミサイドの被害者数が最も多く記録された地域はアフリカで、2023年には2万1700の女性や女児が被害に遭った。これは10万人あたり2.9人に相当する数字だ。アメリカ大陸では親密なパートナーまたは家族によるフェミサイドの発生率が10万人あたり1.6人という高い数字を2023年に記録した。次いでオセアニアでは10万人あたり1.5人、アジアでは10万人あたり0.8人、ヨーロッパでは10万人あたり0.6人だった。