報道によると協議はまだ継続中だが、数週間以内に契約に至る可能性もある。ソニーはすでにKADOKAWAの株式を2%、フロム・ソフトウェアの株式も14%保有しているが、買収が成立すれば両社を完全に傘下に収めることになる。ソニーが手にするのはフロム・ソフトウェアのゲームだけではない。KADOKAWAが所有する漫画やアニメ作品も保有することになる。ソニーはすでにここ数年で、アニメのストリーミングサービスである「Funimation」や「Crunchyroll」の買収などを通じ、漫画・アニメ分野で巨大な勢力を手にしている。
ソニーがフロム・ソフトウェアを買収することで、PlayStationにはどのような影響があるだろうか。もちろん、将来のフロム・ソフトウェア製ゲームがPS5(あるいはPS6)の独占タイトルとなり、Xboxではリリースされない可能性が考えられるだろう。加えて、PC版のリリースにも影響を与えるかもしれない。つまり、フロム・ソフトウェア製ゲームのPC版が、ゲーム機版と同日にSteamで発売されるのではなく、他のソニー傘下スタジオ製タイトルと同じように、かなり長い期間を経てから発売されるようになる可能性があるのだ。
『エルデンリング』や『ダークソウル』といったゲームは、他のプレイヤーと対戦や協力プレイを楽しんだり、他のプレイヤーに向けたメッセージを残したりできるため、厳密にはマルチプレイゲームとも言える。ソニーは、自社のマルチプレイゲームはPC版とゲーム機版を同時に発売する方針を示している。だが、フロム・ソフトウェア製ゲームは明らかにシングルプレイがメインであり、やや特殊なジャンルであることは事実だ。
マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの巨額買収とは異なり、今回の買収案件に規制当局の介入があるかどうかはわからない。マイクロソフトは最終的に、アクティビジョンが保有する『Call of Duty』や『ディアブロ』、『オーバーウォッチ』といった既存IPを独占することなく、マルチプラットフォーム対応タイトルとして維持した。
ソニーも最近、買収したBungie(バンジー)のゲームをマルチプラットフォーム対応タイトルとして維持することに同意した。これには既存の『Destiny 2』のほか、未発売タイトルの『Marathon』も含まれる。したがって、ソニーがフロム・ソフトウェアを買収したとしても、同社製ゲームがマルチプラットフォーム対応を続ける可能性は確かにある。それは(独占タイトル獲得をゲーム機戦争での「勝利」と見なす筋金入りのソニーファンを除き)すべてのゲーマーが望むことだろう。
ソニーは今回の報道についてコメントを控えており、KADOKAWAもコメントは「できない」としている。買収の詳細な内容については、公式発表を待つ必要がある。しかし、たとえ契約に至って買収金額がわかったとしても、フロム・ソフトウェアの将来のゲームがどうなるのかは、しばらくわからないかもしれない。
(forbes.com 原文)