10月、澤がCTO(最高技術顧問)として指揮する再生医療を中心とするウェルネス複合施設「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」が銀座にオープンした。アンチエイジング医療における第一人者である日比野佐和子が総括院長をつとめ、施設内には、アーユルヴェーダのサロン、発酵料理のレストランも入る。プロデュースするのはソルトグループ代表の井上盛夫だ。
ロンジェビティとは長寿の意味で、昨今、医療や健康領域のキーワードとして注目されている。ヒトiPS細胞由来心筋細胞の研究や開発、その普及も含めて“治療”に軸足をおく澤が参画をした決め手は何だったのか。他のクリニックと何が違うのか。澤、日比野、井上の3者に聞いた。
THE HUNDRED ロンジェビティハウス(以下、THE HUNDRED)は、人生100年時代を心身ともに健康に生きるために必要な「先端的な再生医療・古来の伝統医学・伝統的な日本の食文化」を融合させた複合施設。銀座のど真ん中で、古くは5000年前のアーユルヴェーダから最新テクノロジーを駆使した治療までをワンストップで提供する。
ほとんどのメニューはビジターも利用可能だが、澤による年一回の健康診断、VIPルームの利用など一部は会員限定となっており、その入会金は数百万円を超えるいわゆる富裕層向けだ。医療ツーリズムで日本を訪れるインバウンドもターゲットに見据えている。
究極の再生医療で、予防医学を前進させる
目玉は、世界で初となる「iPS細胞由来心筋細胞培養上清」だ。澤はヒトiPS細胞から心筋細胞シートの作製に成功し、弱った心筋の機能を回復させる治療を開発してきた。17年にはその製造販売を目的とした医療ベンチャー、クオリプスを設立。近年は、スタンフォード大学とも連携しながらアメリカでの実用化に向けた研究を進めている。「iPS細胞由来心筋シートを使った治療は、科学的なエビデンスが揃っていて安全性も実証済み。GCTP基準(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準)も満たしている。実際に、患者さんが治療から4年間生きており、元気に社会復帰している例もあります」と澤。