そのうえで、オーダーメードで指導するTHE HUNDREDは「世界一のロンジェビティクリニックを目指せるのではないか」と野望を語る。
そもそもの話だが、社会全体の循環という観点でみると、長寿ばかりを追い求めず、しかるべきタイミングで人が亡くなり、次の世代に変わっていくという代謝がある方が健全であると考えることもできる。THE HUNDREDは長寿についてどのように考えているのか。
「長寿のためといっても、ただ長生きするだけでは意味がありません。我々が目指す長寿は、いたずらに寿命を伸ばすことではなく、元気に社会活動をしながら長生きする『健康寿命』を伸ばすものです」と澤。
日比野は父親が実際に再生医療によって病気を克服した経験を持つ。「脊柱管狭窄症と診断された父は、一時期2m歩いては止まるような状態で、もう死にたいと口にするほどでした。ところが再生医療を受けて回復し、81歳の今も現役で仕事をして、週に数回ゴルフに行くほど。再生医療でこのように元気な高齢者が増えることは、社会にとってもプラスに働くのではないでしょうか」。
「僕も長生きしたいわけじゃなくて、美味しくて体にいいものを追求して元気に生きたい」と言う井上は、海外のロンジェビティハウスを多数訪れた経験もふまえて、「今回のプロジェクトは先端の再生医療、日本の繊細さを取り入れたアーユルヴェーダ、日本の伝統で体に優しい発酵料理と、世界に自信をもってアピールできる要素が詰まっています」と日本から発信する意味を強調。この施設を拡張させる形の宿泊施設を計画中で、さらにそれを海外に展開していくビジョンもあると明かす。
THE HUNDREDは富裕層向けの施設ではあるが、今後エビデンスの蓄積によって、汎用性とともに広く社会に受け入れられていけば、日本が再生医療からウェルビーイングまで世界でイニシアティブを取れる日が来るかもしれない。