宇宙

2024.11.11 10:30

2029年に小惑星「アポフィス」が地球に衝突? 3年後に判明すると研究者

論文について自ら解説する記事の中で、ワイガートは「こうした衝突によってアポフィスが大きく軌道をそれる確率は100万分の1未満であり、その軌道変更が地球に危険を及ぼす確率は10億分の1にすぎないとの計算結果が出た」と説明。「小天体がアポフィスを危険な軌道に向かわせる確率は、全体的に見て非常に低い」と述べた。

アポフィスは観測が難しい

ただし、問題が一つある。ワイガートによれば、アポフィスは2021年半ばから2027年まで太陽の影に入っていて観測できないのだ。つまり、軌道が変化したかどうかは「運命の日」の2年前にならないと確認できないということだ。

もっとも、ワイガートは「差し迫った地球衝突の脅威」の有無を判断するには、2027年になってから一度観測すれば十分だとの見方を示している。

「2029年に小惑星アポフィスが地球衝突軌道に突入する可能性は極めて低いだけでなく、2027年に再びアポフィスが視認可能になった際に、望遠鏡を用いた単純な観測によってすぐに排除できるだろう」

アポフィス観測ミッション

小惑星アポフィスの地球最接近は、科学調査を行う絶好の機会となる。NASAはこれに備え、2023年9月に小惑星ベヌーから採取した試料を地球に届けることに成功したNASA初の小惑星サンプルリターンミッションである「OSIRIS-REx(オサイリス・レックス)」の探査機を再活用し、アポフィスの調査へと差し向けた。

OSIRIS-APEX(オサイリス・エイペックス、OSIRIS-Apophis Explorer)」と改名された探査機は、18カ月間かけてアポフィスの周回探査を行い、2029年に地球に最接近した直後のアポフィスにフライバイ(通過観測)を行う予定だ。



一方、欧州宇宙機関(ESA)も独自にアポフィス探査ミッション「RAMSES(ラムセス)」を立ち上げている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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