報告書はフューチャー・アースと共に、世界の研究機関や科学者から成る「ジ・アース・リーグ」、世界気象機関(WMO)が主導している世界気候研究計画(WCRP)がまとめた。
平均気温が高くなると脳卒中や激しい頭痛、精神障害といった熱関連の疾患につながる可能性があると報告書は指摘。また、湿度が高くなるにつれて暑さに耐える身体能力が低下することが最近の研究で強調されていることにも言及している。
「従来の予想よりはるかに広範にわたる地域が熱ストレスにさらされることを意味する」と報告書にはある。「健康への直接的な影響だけでなく、農業に悪影響が及ぶことで居住可能性を低下させる」ともみている。
暑さ対策の行動計画と早期警報システムが世界各地でますます重要になると報告書にはある。暑さの影響を受けやすい人々や屋外労働者、妊婦、高齢者を守るためには特別な対策が必要となる。
また、報告書によると、一部地域では最近の大気汚染の減少によって公衆衛生が改善されたが、同時に過去の温室効果ガス排出による地球温暖化の全容も明らかになったという。温暖化を緩和する今後の戦略には、エアロゾル(気体中にある微小な粒子)と気候の複雑な相互作用を考慮する必要があるとの見方を示している。
報告書の著者の1人であるビョルン・ホールバルド・サムセットは、1970年代以降、地球の平均気温は10年ごとに0.2度上昇しているとインタビューで指摘した。だが、この10年では0.3度上昇しているという。
「重要なメッセージは、地球温暖化は以前と同じくらい急速に進んでいるということだ」「そして、このレベルの地球温暖化に予想される、あらゆる種の二次的な影響を目にしている。だが、問題は次に何が起こるかだ」