9月26日、世界的なクリスタルブランドであるSwarovskiによるトークセッションおよびネットワーキングイベント「Swarovski Created Diamonds Event for Forbes JAPAN」が東京・Swarovski銀座にて開催されたーー。
本イベントは、2024年3月にSwarovskiがローンチしたラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドを用いたSwarovski Created DiamondsコレクションのPRとして催されたものだ。
会場にはForbes JAPANコミュニティに所属するエグゼクティブらが参加。2023年に松濤にオープンしたモダンフレンチレストラン「啓蟄」のオーナーシェフ・松本祐希によるフィンガーフードやデザート、ハーバーブーケカクテルなどが供された。
ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドとは何か、Swarovskiがローンチする意義などをテーマとしたトークセッションには、スワロフスキー・ジャパン株式会社代表取締役社長・鈴木正規と、世界的なダイヤモンドをはじめとする天然石などの鑑定機関「IGI(International Gemological Institute) China」のマネージングディレクター シム・ヨンウン、そしてモデレーターとしてForbes JAPAN Web編集長・谷本有香が登壇。
谷本はSwarovski Created Diamondsコレクションのピアスとリング、ブレスレットを身に着けて登場し、「ダイヤモンドは身に着けた瞬間から光をまとって、まるでプリンセスになったような不思議な魔法にかかった気持ちです。こうしたワクワクや楽しさというのがジュエリーの醍醐味だと思います」と感想を述べる。
谷本有香 Forbes JAPAN Web編集長
「そもそもラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドとは何か?」という問いに、鈴木が答えるところからトークセッションは始まった。
「ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドは、自然下でダイヤモンドが生産されるプロセスを革新的なテクノロジーで忠実に再現した未来のダイヤモンドです。化学的、物理的、光学的にも100%ダイヤモンドであると認定されており、世界中で普及しています。なかでも、私たちが手がけるSwarovski Created Diamondsは全プロセスにおいて再生可能エネルギーを利用し、ジュエリーのベースには100%リサイクルゴールドを使用するなど、サステナビリティに配慮しているのが特徴です」(鈴木)
鈴木正規 スワロフスキー・ジャパン株式会社代表取締役社長
ダイヤモンドが生成される自然のプロセスを再現した革新的な製法でつくられるラボラトリー・グロウン・ダイヤモンド。Swarovski Created Diamondsコレクションにおけるすべてのラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドを鑑定する機関であるIGIも、ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドは採掘されたダイヤモンドと同じであると認めている。その製法とグローバルでの受容状況について、シムが説明する。
「ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドの製法には、一般的にCVD(化学気相成長)法とHPHT(高圧高温)法という2つの方法があります。CVD法は採掘されたダイヤモンドから取り出した種を層状に成長させていく方式で、3Dプリンターのように重ねていくイメージです。HPHT法はダイヤモンドが自然で生成される高圧・高温状況を人工的に再現する製法です。いずれの方法によって生成されたラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドも、あらゆる点で採掘されたダイヤモンドと同じ特性をもちます。
現在、ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドは世界中で認知が高まっていて、アメリカで流通するダイヤモンドの30〜40%ほどを占めるようになっています。しかし、日本での普及率はとても低く5%未満にとどまっています。今回Swarovskiがラボグラトリー・グロウン・ダイヤモンドを導入したことで、日本でも普及が進むだろうと期待していますし、Swarovskiがその先駆者となるだろうと確信しています」(シム)
シム・ヨンウン IGI(International Gemological Institute) China マネージングディレクター
ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドが急速に普及が進む背景について、シムは自然採掘のダイヤモンドと比べて比較的手頃な価格での提供が可能となっていること、加えて新たな市場を獲得していることを挙げた。
現在のダイヤモンド需要の大半はブライダル市場が占めているが、Swarovski Created Diamondsコレクションはブライダル以外の市場でも受け入れられているという。また、環境に優しいことも重要なポイントとして挙げ、日本やアジアでも今後需要が伸びていくだろうと期待感を覗かせた。
続いて、鈴木はSwarovskiのブランドヒストリーとマーケティングおよびブランディングについて言及した。
1895年にオーストリアで設立された同社は、世界最高峰のクリスタルをはじめ、ジルコニアやラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドを提供しているが、創業当時はBtoCではなくBtoBの法人向けビジネスを主としていたという。
シャネルやディオールといったラグジュアリーメゾンをはじめ、映画などのエンターテインメントの世界や自動車といった幅広い領域にクリスタルを提供していたのだ。70年代からは自社クリスタルを使ったジュエリーの展開を始め、現在は世界140カ国以上、約2,300店舗、およそ1万6,000人の従業員を抱える巨大ブランドとなっている。
「長い歴史があるなかでの私たちの強みは、クリスタル素材の製造からデザインまでをすべて自社が一元で手がけていることです。自分たちの魅力的な商品を生産からデザイン、プロダクトまでを通じて、みなさんに直接お届けできることが最大の強みと認識しています」(鈴木)
Swarovskiでは、2020年に新しいクリエイティブ・ディレクターとして、ジョバンナ・エンゲルバートを迎え、ファッション業界で存在感を発揮してきた彼女の新しい発想や斬新なデザインを取り入れる形でブランドを一新した。
こうした取り組みに対して、銀座の店舗を訪れた人々からはこれまでのイメージとは違うという驚きの声や『私の知っているSwarovskiが戻ってきた』と喜ぶ声が上がっており、ブランドとして新しく生まれ変わりながらもSwarovskiらしい進化を続ける姿があるという。
今年7月には、世界的アーティストのアリアナ・グランデが同社のグローバルブランドアンバサダーに起用されたことも大きな話題となった。
前述の通り、Swarovskiは創業時よりミュージック、ミュージカル、映画といったエンターテインメント業界と蜜月な関係を築いており、「彼女のカリスマ性やメッセージ、ポジティブなエネルギーは、まさしくSwarovskiがもつ『世界に輝きと喜びを伝えたい』というイメージとマッチしている」(鈴木)と話す。
Swarovski Created Diamondsコレクションは旗艦店である銀座店を皮切りに、名古屋店、新宿店、池袋東武店、ランドマークプラザ横浜店、大丸心斎橋店でも展開を進め、現在、日本では6店舗で扱っている。その販売戦略について鈴木が説明する。
「Swarovskiがラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドのパイオニアであり続けなければならないと考えています。そのためにも、店舗での接客や今回のようなイベント、新聞広告での訴求といった形で、お客様に対して丁寧にその価値を伝えて広めていく必要があります」
現状、日本ではまだ知名度の低いラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドだが、ローンチ後からすでに当初の目標値を大幅に上回っている状況で、Swarovskiのファッション性高いデザインと合わせて高い評価を得ているという。
上:Galaxyペンダント 396,000円 下:Galaxyペンダント 693,000円 ともにSwarovski Created Diamonds/Swarovski Japan
ピンとして使用したEternity ハロースタッドピアス(両耳セットで) 253,000円 Swarovski Created Diamonds/Swarovski Japan
今回の対話を受けて、谷本がこう締め括った。
「ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドはサステナビリティといった理由からもグローバルで支持を得ています。リーダー層やエグゼクティブが自分たちのつくりたい社会や未来の象徴としてラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドのようなクリーンなジュエリーを身につける。それは、社会に対しても強いメッセージになるはずです。そうした可能性を切り開いていけるSwarovskiというブランドがラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドを導入する意義はとても大きいと思います」
トークセッション終了後は、参加者を交えてのネットワーキングが開かれた。参加者たちはSwarovski Created Diamondsコレクションの詳しい説明に耳を傾けたり、歓談を交わしたりしながら、進化を続けるSwarovskiの世界を存分に堪能した。
Swarovski