ドラゴンドローンはこれまで、主に樹林帯などの掩蔽(えんぺい)地や塹壕、それらに潜む部隊を攻撃してきた。人間を数秒で死なせ得る粘着性の焼夷剤に対しては、こうした場所や兵士が最も脆弱だと操縦士たちは判断していたようだ。
だが、ウクライナ軍のある旅団が先週、東部で発見、より正確に言えば再発見したように、焼夷剤は装甲車両に対しても有効だ。
ドネツク州のウクライナ側防御拠点、ポクロウシクから北へ65kmほどのミニキウカ村方面に配置されているウクライナ陸軍第30独立機械化旅団は3日かその少し前、ロシア軍の戦車が1両だけで白昼、樹林帯付近を進んでくるのを見つけた。装甲を強化したこの「亀戦車」は、付近に展開しているロシア軍の「セーベル(北)-V」志願兵旅団が運用していたのかもしれない。
ウクライナ軍のドローンが上空から監視するなか、この戦車は対戦車ミサイルとみられる攻撃で被弾する。最初の一撃で動けなくなった亀戦車は、続く攻撃の格好の目標になった。
Soldiers of the 30th Separate Mechanized Brigade shot down a Russian tank and then burned it with a drone containing a thermite mixture, probably the first documented case of a dragon drone striking Russian armored vehicles. pic.twitter.com/PmBrgHt8N7
— WarTranslated (Dmitri) (@wartranslated) October 3, 2024
「ロシア軍の装甲車両をドラゴンドローンが攻撃する様子が記録されたのはおそらく初めてだろう」。エストニアのアナリスト、WarTranslatedはそうコメントしている。
焼夷剤が対戦車兵器としても有効だという事実は驚くに当たらない。たとえウクライナ軍やロシア軍のドローン操縦士がそれに気づくのに数週間かかったのだとしてもだ。
米陸軍は2000年の研究で、焼夷剤の一種であるナパームについて「戦車に散布されると、戦車の表面の可燃性物質が発火し、履帯(キャタピラ)や転輪のゴムが燃え、露出した油圧ホースが破裂し、エンジン室が損傷する可能性がある」と解説していた。