「おっしゃられた」は間違った敬語？二重敬語の仕組みを理解しよう
「おっしゃられた」という表現を日常で耳にすることがあるかもしれませんが、実はこれは二重敬語と呼ばれる誤った敬語表現です。「おっしゃる」という言葉自体が「言う」の尊敬語であり、既に敬意を示す言葉になっています。そこにさらに「られる」を加えると、敬語が二重になり過剰な表現となります。
正しい敬語は「おっしゃる」です。「おっしゃられた」を使う代わりに、「おっしゃる」を使うことで、適切な敬語表現となります。これにより、ビジネスシーンなどでのコミュニケーションもより洗練され、相手に正しい敬意を伝えることができるでしょう。
例文：「社長がおっしゃったことをしっかりと守ります。」
「おっしゃる」と「おっしゃられる」の違い
1. 「おっしゃる」の正しい意味と使い方
「おっしゃる」は、「言う」の尊敬語です。目上の人が何かを言ったり話したりする際に、その発言を尊敬して表現するときに使います。この言葉自体が尊敬語であるため、相手に対する十分な敬意が含まれています。
例文：「先生がおっしゃることには、重要な意味があります。」
「おっしゃる」は、すでに敬語表現として完成された形なので、余分な「られる」を付ける必要はありません。これだけで、相手に対する適切な敬意を伝えることができます。
2. 「おっしゃられる」の誤りとその背景
「おっしゃられる」は、尊敬語「おっしゃる」にさらに「られる」という尊敬語を加えた二重敬語です。二重敬語は、同じ種類の敬語を重ねて使うことを意味し、過剰な表現とされています。この場合、「おっしゃる」で既に尊敬が表現されているため、追加の敬語は必要ありません。
ただし、二重敬語の中には慣習的に使われ、一般に許容されている表現もありますが、「おっしゃられる」はその中には含まれていません。文化庁の「敬語の指針」によれば、二重敬語は適切ではないとされていますが、いくつかの表現は習慣的に使われることも認められています。
例：許容されている二重敬語「お召し上がりになる」「お見えになる」
「おっしゃられた」の代わりに使える言い換え表現
1. 「おっしゃった」
「おっしゃられた」を正しい表現に言い換えるなら、「おっしゃった」が適切です。「おっしゃった」は、過去形で目上の人の発言を尊敬を込めて伝えるときに使います。
例文：「部長がおっしゃった内容に従い、計画を進めます。」
「おっしゃった」には、既に尊敬の意味が含まれているため、これ以上の敬語を付け加える必要はありません。
2. 「お話しされた」
「おっしゃる」の代わりに、より一般的な言い換えとして「お話しされた」も使えます。これは、「話す」を尊敬語で表現したもので、少し柔らかい印象を与えます。
例文：「先生がお話しされた内容を、忘れずに実践します。」
「おっしゃられる」の誤用を避け、正しい敬語を使おう
1. 二重敬語に気を付ける
敬語を使う際には、特に「二重敬語」に注意することが大切です。「おっしゃられる」のように、同じ敬語が重なると、過剰な表現になり、相手に不自然な印象を与えてしまいます。正しい敬語を使うためには、シンプルな形で敬意を示すことが重要です。
例文：「お客様がおっしゃる通りです。」（正しい例）
2. ビジネスシーンでの適切な敬語の使い方
ビジネスシーンでは、特に上司や取引先に対する敬語が重要です。「おっしゃられる」のような誤った敬語を使うことで、相手に対して失礼な印象を与える可能性があります。ですので、正しい表現を学び、相手に敬意を伝える言葉を選ぶことが必要です。
例文：「社長がおっしゃった内容について、早速対応させていただきます。」（正しい敬語表現）
「おっしゃられる」の使い方を見直して、正確な敬語をマスターしよう
敬語は日本語の中でも特に複雑な部分で、使い方を誤ると相手に不快な思いをさせる可能性があります。「おっしゃられる」のような二重敬語は、日常的に耳にすることがあっても、ビジネスシーンでは正しい敬語を意識して使うことが重要です。適切な敬語を使いこなすことで、相手とのコミュニケーションを円滑にし、信頼関係を築くことができます。
これからは、「おっしゃられる」ではなく、「おっしゃる」や「おっしゃった」を使い、正確な敬語を身につけましょう。正しい敬語の使い方を意識することで、相手に対する敬意がより伝わりやすくなります。
