ペプシコ株の予想PER(予想利益に対する株価収益率)は21倍であるのに対し、コカ・コーラ株は25倍である。コカ・コーラは優れた収益成長と収益性を見せており、そのことが2社のバリュエーションの間にあるギャップを説明している。
しかし、ペプシコはより多様な製品ポートフォリオの構築と、価格戦略の改善に取り組んでいることから、この差は今後数年で縮小すると私たちは考えている。
本稿では、両社の収益成長率、収益性、株式リターン、バリュエーションなど、多くの要素を比較した。
コカ・コーラの株式リターンは、過去3年間ペプシコを上回る
ペプシコ株は2021年1月上旬につけた150ドル台から、現在の177ドル前後の水準まで約18%上昇したのに対し、コカ・コーラ株は同期間で30%上昇した。これに対し、S&P500種株価指数は、この約3年間で約50%上昇している。過去3年におけるそれぞれのリターンを見ると、ペプシコ株は2021年に21%、2022年に7%、2023年にマイナス3%であったのに対し、コカ・コーラ株のリターンはそれぞれ11%、11%、マイナス4%だった。これに対し、S&P500のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、ペプシコ株とコカ・コーラ株は両方ともに2021年と2023年にS&P500のリターンを下回ったことになる。
収益成長はコカ・コーラに軍配
ペプシコの年間収益は、2020年の704億ドル(約10兆660億円)から2023年の915億ドル(約13兆800億円)へと年平均9.2%増加したのに対し、コカ・コーラの収益は、同期間に330億ドル(約4兆7200億円)から458億ドル(約6兆5500億円)へ年平均11.6%増加した。ペプシコの増収は、適切な値上げによって達成されてきた。しかし、最近の個人消費の低迷に伴い、ペプシコの販売量はここ数四半期伸び悩んでいる。前四半期の売上高は225億ドル(約3兆2200億円)だったが、これは販売量が3%減少したのに対し、販売価格が5%上昇したことにより、差し引きで2%の増加となった。また、2024年第2四半期では、クエーカーフーズ部門を除くすべての部門において既存事業売上高が増加している。そのクエーカーフーズ部門は独自の問題を抱えている。米国食品医薬品局(FDA)は昨年末、サルモネラ菌汚染の懸念があるとして、クエーカーオーツ製品3ダース以上のリコールを発令した。このリコールは、同部門の業績に大きな影響を与えている。
そうした問題を抱える一方で、ペプシコは高インフレ環境を踏まえ、製品の小型包装に注力し、これが売上に貢献した。ペプシコは今年、(為替やM&Aの影響を除く)オーガニックの売上成長が4%に達するとの見通しを示している。
コカ・コーラの増収は家庭向け製品とそれ以外の製品の両方により牽引されている。これは主に堅調な販売価格によるものである。中でも、北米と中南米のセグメントが直近の成長を牽引している。