ダイバーたちは、1850年代にさかのぼる未開封のシャンパンボトルが入った何箱もの木箱を発見した。バルト海の海底には10万隻以上の難破船が点在していると推定されているが、それでも今回のような発見はそうあるものではない。実際、ダイバーのチームを率いるトマシュ・スタチュラは英BBCに、潜水の仕事に携わって40年になるが、今回のようなものは見たことがないと語っている。
一見したところ、シャンパンはすばらしい状態で保存されているようだ。きっちりと密封されているおかげで、酸化を免れている。スウェーデン政府は、適切な許可を得られない限りボトルの引き上げは不可だと釘を刺しているため、現時点でシャンパンの状態について確かなところはわからない。そして、引き上げの許可がいつ、どのように下されるのか、当局はまだ明らかにしていない。
はっきりしているのは、海底で眠っているこれらのシャンパンが回収されれば、かなりの値がつくだろうということだ。ごく最近の例からそれは明らかだ。バルト海では2010年にも難破船が発見され、そこにはフランス産のスパークリングワインがたくさん積み込まれていた。約200年物が168本あり、その中にはヴーヴ・クリコのように現在も生産・販売されている有名ブランドの未開封ボトルも含まれていた。
地上に引き上げられたこれらのスパークリングワインの一部は、官能評価を行う専門家チームによって栓を抜かれ、テイスティングされた。状態は期待をはるかに上回るものだった。そのため、回収されたボトルの1本が1年後にオークションに出品され、3万ユーロ(約480万円)という高値で落札されたのは驚くにはあたらない。
バルト海でこのほど見つかったものも同じような運命をたどるのではないかと考えるのは妥当だろう。2011年の3万ユーロは、インフレを加味すれば現在では約4万5875ドル(約670万円)になる。スタチュラは潜水中におよそ100本の未開封ボトルを見たと報告しており、これらの価値は計458万ドル(約6億7000万円)ほどになる可能性がある。
だが、スウェーデン政府がその宝のありかへのアクセスを許可しない限り、すべては単なる憶測にすぎない。すぐに許可しなければならないというプレッシャーがないのは確かだ。そして、これらのシャンパンは172年以上も静かに熟成している。もう少し寝かせたところで問題はなさそうだ。
(forbes.com 原文)