欧州

2024.08.09 09:00

パリ五輪のセキュリティ強化、地元企業にとっては諸刃の剣

だがポジティブな予測にもかかわらず、6月以降、レストラン、ホテル、小売、ナイトライフなど各業界の売上はさまざまな問題により30%減少している。観光活動の減少、天候不順、インフレ、マクロン大統領が踏み切った解散総選挙を受けての政情不安、制限の多いオリンピックのセキュリティ対策などが挙げられる。影響を受けている業界を代表する労働組合は、エッフェル塔付近の人通りが70%減少したことや、警備フェンスによる全体的な顧客の減少など、経済面で深刻な影響を受けていると強調している。労組は当局からの明確な説明と、オリンピックによる経済損失を軽減するための迅速かつ公正な補償を求めている。

脅威の高まりや最近話題となった犯罪への対応という点で、オリンピックは国際社会からのセキュリティ強化支援につながったが、それは地元企業に意図していなかった負の影響ももたらしている。小売企業、そしてホスピタリティやナイトライフなどの業界も、観光活動の減少や主要エリアへのアクセス制限による大幅な収益減に直面している。より明確な説明と公正な補償を求める労組の訴えは、イベントの成功がパリの活気ある経済界に不当な犠牲を強いることがないよう、強固な警備と地元企業の経済的な健全性のバランスをとる必要性を浮き彫りにしている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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