こうした手間暇がかかるシャンパーニュ造りの工程において、要となるのが「アッサンブラージュ(ブレンディング)」だ。
ブレンドされるのは、ブドウ品種、ブドウが育つ場所、醸造手法などが異なる様々なワイン。場合によっては、収穫年の異なるワインのブレンド、すなわち、最新の収穫年のワインにリザーヴワインという過去のワインをブレンドすることがある。このカテゴリーは、NV(non-vintage)またはMV(multi-vintage)と呼ばれ、シャンパーニュ全体の生産量においても約8割を超え、産地を代表するものだ。
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このMVカテゴリーで、最高クラスの一つが、プレステージのシャンパーニュ メゾンであるクリュッグの「グランド・キュヴェ(Grande Cuvée)」だろう。
ファミリーのストーリーがその始まり
クリュッグは、1843年にヨーゼフ・クリュッグにより設立された老舗メゾンだ。何世代にもわたり創業者の理念が受け継がれ、現在は、6代目のオリヴィエ・クリュッグ氏が当主を務めている。オリヴィエ氏は、自身のキャリアを始めたばかりの1990年代に日本に住んだ経験を持ち、親日家でもある。当時の日本では、ワインやシャンパーニュを飲む習慣があまり定着しておらず、同氏は「父の反対を押し切り日本に来ましたが、実際、なかなか売れず、苦しい日々が続きました」と回顧する。
今では、日本はシャンパーニュの世界第3位の輸出市場になり、クリュッグにとってもトップクラスの輸出市場に成長した。オリヴィエ氏と話すと、日本への造詣の深さと思い入れが伝わってきて、温かい気持ちになる。