CPU、GPUともに好調続く
CPUの売上高は、PC市場全体の好調さに牽引され、成長を維持するだろう。2024年第1四半期のクライアント・セグメント(主にデスクトップPCやノートパソコン向け)では、主にAMD Ryzen 8000シリーズが成長を牽引し、売上高は前年同期比85%増の14億ドル(約2136億円)だった。調査会社のカウンターポイントによると、第2四半期の世界PC出荷台数は前年同期比3.1%増の6250万台に達した。パンデミックで積み上がったPCベンダーが抱える在庫は、2023年の上半期に消化されたと見られており、PCベンダーが在庫を補充するにつれて、AMDに対する需要が高まる可能性がある。
サーバー向けのセグメントでは第4世代のAMD EPYCプロセッサなどが好調で、より小型で先進的なプロセスノードへの移行の遅れに直面したライバルのインテルよりも市場シェアを拡大し続ける可能性がある。
GPUの売上高も、AI向けの需要急増を考えれば、大幅に拡大する可能性が高い。GPUは、AI関連の処理を実行するためには事実上欠かせないチップとなりつつあるのだ。AMDは、生成AI向けの大規模な言語モデルのトレーニングと推論をターゲットとした新型GPUのInstinct MI300Xを昨年発表した。AMDは以前、2024年におけるAI向け半導体の売上高が少なくとも35億ドル(約5344億円)になるとしていたが、AI向けの需要急増や、市場をリードするエヌビディアに代わる製品を求める声もあることを考えると、この数字がより高くなる可能性もある。
収益基盤の強化はAMDの利益も押し上げるはずだ。同社は第2四半期の売上総利益率について、前四半期と比べて1ポイント改善した53%を見込んでいる。
株価パフォーマンス
AMDの株価は、2021年1月初旬につけた90ドル台から、米国時間7月24日現在の145ドル前後という水準まで、約60%という極めて力強い上昇を見せている。過去3年間のリターンは2021年に57%、2022年にマイナス55%、2023年に128%だった。一方、S&P500種株価指数のリターンは、2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、AMDは2022年にS&P500を下回っている。結論
AMDの株価はこの1年で大幅に上昇した。その結果、現在の株価は2024年の市場予想利益の約44倍で取引されており、これは比較的高い倍率だ。しかし、PC市場の回復が続いていることや、AI向けの需要が急増していることなどを考えると、この倍率がある程度正当化されてもおかしくはない。私たちは第2四半期の決算発表後に同社の目標株価を見直す予定だが、今のところの目標株価は、現在の株価より約12%高い163ドルとしている。(forbes.com原文)