同社によればこの投資は、農業ロボティクス分野で史上最大の調達額という。モナーク・トラクターは現在、米国の13州とカナダの1州で400台以上の電動トラクターを展開しており、今後は欧州市場に進出する計画だ。「これで計画を実行できる」と、同社の共同創業者でCEOのプラヴィーン・ペンメッツァはフォーブスに語った。
モナーク・トラクターは、フォーブスが次世代のユニコーン企業を選出する年次リストの『ネクスト・ビリオンダラー・スタートアップ』に、昨年夏に選出されていた。2023年に3700万ドル(約56億円)の収益を上げた同社は今年、1億1200万ドルの収益を見込んでいる。
モナーク・トラクターの電動トラクターは、自動運転に対応し、燃料と労働力のコストを削減できる。また、カメラと人工知能(AI)を用いたソフトウェアで、畑の状況を把握することで農薬の使用量を減らし、より持続可能な農業の実現を手助けする。
「モナーク・トラクターのトラクターは、車輪がついたコンピュータのようなものだ」と、今回の調達を主導したアスタノアのマネージングパートナー、ヘンドリック・ヴァン・アスブルークは語った。
現在46歳のペンメッツァは、約20年にわたり電気自動車(EV)や自動運転車の開発に携わった後に、農業分野にピボットした。彼は、テスラのギガファクトリーの責任者を務めていたマーク・シュワガーや、カリフォルニアワインの父と呼ばれるロバート・モンダヴィを祖父に持つカルロ・モンダヴィらと共に、2018年にモナーク・トラクターを立ち上げた。
彼らはまず、ぶどう園にテントを張って、そこで求められるトラクターの機能を研究した。モナーク・トラクターのトラクターは、トウモロコシや大豆の農場で使用される巨大なトラクターではなく、ぶどう園や野菜の農場向けに設計されている。最初のプロトタイプの製作には50万ドル(約7600万円)がかかったという。
彼らはその後、コスト削減に成功し、現在は40馬力相当のモデルを8万9000ドル(約1360万円)で販売している。同社はまた、農業大手のCNHインダストリアルとの提携で、やや大きめのバージョンの開発を進めている。
同社は、ここ1年で乳牛の農家や空港のオペレーターなどの新たな顧客を獲得した。空港では、同社のトラクターが芝刈りや農薬の散布、荷物の輸送などに使用されている。「我々はこれまで、サステナビリティや野菜や果物などにフォーカスしてきたが、最近はさまざまなジャンルの顧客からの相談を受けるようになった」とペンメッツァは語った。
(forbes.com 原文)