同社はフランチャイズ店舗を中心に4万店以上を展開する世界最大の外食チェーンだ。MCDの株価は今年に入り約297ドルから現在の約254ドルまで下落したが、S&P500種株価指数は同期間に約17%上昇しており、MCDのパフォーマンスは幅広い株価指数を大きく下回っている。これに対し、MCDの同業であるレストラン・ブランズ・インターナショナルの株価は同期間に4%の下落に留まる。
来客数の鈍化が重荷に
MCDの株価下落の原因は、コスト上昇に対する投資家の懸念にある。値上げは同社の戦略の重要な部分であり、インフレコストを相殺する方法でもあった。しかし、全体的な需要に影響を与えることなくそれを行うことは難しい。同社は第1四半期の決算発表において、値上げが続くメニュー価格に対し消費者が反発し始めていることを示唆した。マクドナルドの顧客は低所得者層の比率が高いため、将来的には価格付けが大きな課題となるだろう。同社は、すべての主要市場(米国、英国、オーストラリア、ドイツ、カナダ、日本)において、来客数の鈍化に直面している。実際、同社の見立てでは、米国のファストフード業界全体の来客数は2024年通年でマイナスになるとしている。見過ごしてはならない警告のサインだと言えよう。
しかし、長期的には、宅配サービスの強力な推進、豊富な手元資金、厳しい経済環境にも対応する能力、そして、例えばインドで見せたように、それぞれの国の文化に沿ったメニューを展開する能力などにより、同社がこの市場で高いパフォーマンスを見せるチャンスは大いにある。
株価パフォーマンス
MCDは、2021年1月初旬につけた215ドルから現在の254ドル前後の水準まで、約18%の力強い上昇を見せている。過去3年間のリターンは、2021年に25%、2022年にマイナス2%、2023年に13%だった。これに対し、S&P500のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、MCDのリターンは2021年と2023年にS&P500を下回っている。直近の決算動向
マクドナルドが発表した第1四半期の売上高は、前年同期比5%増の62億ドル(約9638億円)となった。上昇率だけで見ると大きな伸びとは言えないが、既存店売上高は13四半期連続で増加している。1年前の決算では前年同期比で12.6%増と大きく伸びた反動もある。既存店売上高が成長した要因として、米国の売上高が2.5%増加したこと、グローバルでの直営およびフランチャイズ店舗売上高が2.7%増加したこと、ライセンス付与による収入がわずか0.2%の減少に留まったことなどが挙げられる。調整後のEPS(1株当たりの純利益)は前年同期比2%増の2.70ドルとなった。