スタートアップ

2024.07.24 13:00

セキュリティの新興Wiz、グーグルによる3.6兆円の買収提案を拒絶

アサフ・ラパポート(Photo By Harry Murphy/Sportsfile for Web Summit via Getty Images)

アサフ・ラパポート(Photo By Harry Murphy/Sportsfile for Web Summit via Getty Images)

最新の評価額が120億ドル(約1兆9000億円)とされたサイバーセキュリティ分野のユニコーン企業Wiz(ウィズ)のCEO、アサフ・ラパポートは、グーグルの親会社のアルファベットから受けた、最大230億ドル(約3兆6300億円)規模の買収提案を拒否し、新規株式公開(IPO)を目指すと7月22日に社員らに宛てた書簡で発表した。

「私は、外部から受けたオファーに感謝しつつも、この会社を独自に築き上げる道を選ぶことにした」とラパポートはウィズのスタッフに述べている。テルアビブで創業し、ニューヨークを拠点とする同社は、10億ドルのARR(年間経常収益)の達成を目指し、その後にIPOを行う計画という。

ウィズは広報担当者を通じてコメントを控えた。

ラパポートは、世界中の約1200人の社員に宛てた書簡の中で、取引から手を引いたのはグーグルではなく、ウィズの独自の決定だと述べている。「このようなオファーを断るのは難しいが、私たちはこの選択に自信を持っている」と彼は語った。

ウィズとグーグルの間で買収に向けた交渉が進んでいるとのニュースは、7月14日にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が最初に報じ、グーグルにとって過去最大の買収になるかもしれないという憶測を呼んでいた。

ウィズは、今年5月に評価額120億ドル(約1兆8000億円)で10億ドル(約1560億円)を調達したと発表しており、噂された買収額の230億ドル(約3兆6300億円)は、この評価額に92%のプレミアムを上乗せしたものだった。ウィズの著名な投資家には、セコイアやライトスピード、アンドリーセン・ホロウィッツ、スライブ・キャピタル、インデックス・ベンチャーズなどが含まれている。

2020年1月にラパポートらによって設立された同社は、クラウド上の企業情報を保護するソフトウェアでサイバーセキュリティ分野における存在感を急速に拡大した。フォーブスは、昨年5月の『Cloud 100』でウィズを15位に位置づけていた。

同社は、他社の買収にも積極的で、2023年4月にはもう一つのイスラエル発のセキュリティ企業Gem Security(ジェムセキュリティ)を3億5000万ドル(約546億円)で買収したと報じられた。ウィズはまた、かつての評価額が83億ドル(約1兆3000億円)とされたLacework(レイスワーク)を最大2億ドル(約312億円)で買収する計画だと4月に報じられた。

同社は、大胆な取引を試みる歴史を持っており、時価総額49億ドル(約7649億円)の米国のセキュリティ企業、SentinelOne(センチネルワン)の買収案を銀行に打診したと、ブルームバーグが2023年8月に報じていた。センチネルワンのCEOであるトマー・ワインガルテンは後にウィズを「素晴らしい小さなスタートアップ」と呼んでいた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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