19日の取引では、S&P500種株価指数は0.7%の下落、ナスダック総合指数は0.8%の下落、ダウ平均株価は0.9%の下落、中小企業中心のラッセル2000指数は0.6%下落した。
世界中に広まったシステム障害の原因を作ったサイバーセキュリティ企業のクラウドストライクは、S&P500採用銘柄の中で最大の下落率となり、株価は前日比で11%下落した。
1週間で2%下落したS&P500と、3.7%下落したナスダックはともに、4月中旬以来最悪の週となった。ダウとラッセルは先述した2つの株価指数と比べ、アップル(1週間で3%下落)、マイクロソフト(4%下落)、エヌビディア(8%下落)などのテクノロジー株の比重が小さいため、まだプラスを保っている。
半導体銘柄は苦戦が続く
エヌビディアは、これまで生成AIへの関心の高まりから過熱していた半導体銘柄の下落を先導するように、19日の取引では3%の下落となった。半導体分野の米国上場株に投資する上場投資信託(ETF)、iシェアーズ・セミコンダクターETFは今週9%下落し、シリコンバレーの半導体メーカーであるアドバンスト・マイクロ・デバイセズとブロードコムは、1週間でそれぞれ16%と6%下落した。バイデン政権が対中半導体規制の強化を検討しているとの報道があり、ドナルド・トランプも半導体業界にとって重要な台湾の保護に懐疑的であるというニュースが流れた後、半導体株は世界中で苦戦した。
長引く低迷の始まりか?
先週の株価下落が本格的な低迷の始まりなのかどうかは、まだわからない。ゴールドマン・サックスのストラテジストは、19日に公開した顧客向けメモで、世界の株式市場が「夏に後退するリスク」があると見ており、「ここから株式バリュエーションが拡大する」ことはあまりないだろうと警告している。彼らはその理由として、11月の米大統領選挙に起因する地政学的リスク、経済成長が失速するリスク、そして、9月にも開始との予想が多い米国の金利引き下げによる株価への好影響も、すでに織り込み済みであることなどを挙げている。しかし、ここ数日で見られたような下落は、株式市場では日常茶飯事の出来事だ。ダウ、S&P500、ナスダックは、配当の再投資を含めると、年初来でそれぞれ9%、17%、20%上昇しており、過去の統計からみる株式市場の平均年間リターンをすでに上回るペースだ。S&P50は先週だけで2%下落しているが、過去2年間で見ると、それを上回る下落は16回起きている。
今週、米国ではアルファベット、アマゾン、テスラ、ビザ、コカ・コーラなどの大企業がQ2決算発表を控えており、決算シーズンの真っ只中となる。ファクトセットの調査によれば、アナリストたちは今期の決算における各社の利益成長率は、2021年以来最も高い数字を記録するだろうと予想している。
(forbes.com原文)