電気自動車(EV)向けの電池メーカー、SKオンの親会社であるSKイノベーションは、液化天然ガスや再生可能エネルギー分野で事業を展開するSK E&Sを株式交換によって買収する。7月17日に韓国証券取引所に提出された書類によると、この合併により新会社の資産規模は106兆ウォン(約12兆円)となり、アジア太平洋地域で最大の民営のエネルギー企業になるとSKイノベーションは述べている。
新会社の資産規模は、日本のENEOSホールディングスやオーストラリアのウッドサイド・エナジー、インドの大富豪ムケシュ・アンバニのリライアンス・インダストリーズを上回ることになる。
SKイノベーションとSK E&Sの合併は、SKイノベーションにとって最大の赤字部門であるSKオンの財務を強化するのに役立つとされている。EVバッテリーメーカーであるSKオンは、2021年に親会社からスピンオフして以来、赤字を計上し続けていると、今月初めに英フィナンシャル・タイムズは報じていた。
今回の合併は、SKグループの175社以上の企業の運営を効率化することを目的とした大規模な再編計画の最新の動きと言える。資産規模で韓国第2位の財閥であるSKグループは、EVバッテリー部門の大幅な赤字を受けて、事業再生の計画を発表した。同グループは6月に、2026年までに80兆ウォン(約9兆円)を確保し、人工知能(AI)や半導体に投資し、株主へのリターンを確保する計画を発表した。
SKグループはまた、非中核資産の売却を進めてAIに注力しており、SKテレコムは15日に、ナスダックに上場するAIインフラ開発企業のSMART Global Holdings(スマート・グローバル・ホールディングズ)に2億ドル(約315億円)を投資したと発表した。加えて、SKグループの通信部門は昨年8月、OpenAIの競合のAnthropic(アンソロピック)にも1億ドル(約157億円)を出資している。また、4月にはSKグループの実質的なAI投資部門であるSKネットワークスが韓国のAIスタートアップUpstage(アップステージ)が7200万ドル(約113億円)を調達したシリーズBラウンドを主導した。
SKイノベーションとSK E&Sの合併は、株主の承認を得て、11月に完了予定とされている。両社は、ともにSKグループの持株会社であるSK Inc.の傘下に置かれている。
(forbes.com原文)