高木: 現在はDig DAOのプロジェクトの1つとしてこれを推進していますが、今後は行政や自治体自身がこのような形で、ガバナンスを実験していくようになると面白いと思います。
僕がこのプロジェクトを進める動機は二つあります。一つは、高校生起業時に会社としてうまくいかなかった当時の自分を助けられるような仕組みを作りたい、というもの。もう一つは、多くの人が市民として手を動かすことを楽しんでいける社会が理想だと信じているからです。
現在は政治家・公務員と市民が 提供側と享受側のような関係性になってしまっているシーンが多いですが、本来、自治とは私たちが行っていいもの。特にデジタルの場合は、誰もが簡単に手を動かすことができるので、市民参加のハードルを下げるものとして、新しい形の資金分配に対してものすごくワクワクしています。この記事を読んでくださっている皆さんと共に新たな自治、公共のあり方を作っていきたいと考えております。
自治とは、私たち一人ひとりが主体的に考え、行動し、必要なものを作るものだ。しかし、いつの間にか“自治”の集合体である自治体、その先の政府という存在に、我々は「何か提供してくれるものを享受するだけ」の受け身の存在となってしまっていることを痛感する。確かにデジタルであれば、自分たちでも仕組みを作り、広め、適切な人に伝えるなど、貢献できることが今まで以上に増えてくる。
今回のDig DAO マッチングドネーションのラウンドで使われているシステムそのものもオープンソースソフトウェア(OSS)で作られており、デジタル公共財そのものだ。開発を担当したCode for Japan エンジニア りょーま (川邊 悠紀)氏は「デジタル公共財はソフトウェア、データ、AIモデルなど様々あり、どれもなにかやりたいと思ったらいくつかのステップをスキップできる人類の強力な資産。今回のDig DAO マッチングドネーションシステムも、OSSを使いローカライズと追加機能の実装で実現。デジタル公共財がどんどん生まれるエコシステムに貢献していきたい」と語る。
すでにデジタル公共財への動きは日本からも始まっている。Code for Japan 関氏のnote「国連も推進する、デジタル公共財とは何か 」も参考にしながら、デジタル公共財を自分ごととして考える一歩をこの記事から感じてもらえれば幸いだ。