アート

2024.07.11 14:15

ニューヨークの革新的アートビジネス:SHIN GALLERYの挑戦

【モチベーションとインスピレーション】

仕事において何がシン氏を動機付け、どのようなインスピレーションのもとアーティストや作品を選んでいるのか? また、仕事において最も充実感を感じる瞬間は?

シン氏:私は常に“良いアート”から刺激を受けています。“良いアート”は私の感情を揺さぶり、理性的な面を静めてくれます。“良いアート”と出会うのが大好きで、もっと多くの作品を見たり発見したりしたいと思っています。そして、見過ごされていたアーティストを再発見するたびに、驚くほどのエネルギー、喜び、新しいアイデアを得ることができます。まるで隠された宝物を見つけたような気分になり、その感覚が私を前進させてくれます。見過ごされていたアーティスト再発見としてご紹介したいのはジョアン・ミロらと活動していたイタリア人アーティストのカルラ・プリナです。彼女について、後ほど紹介します。

アート作品を見たときに感じる直感があります。まるで身体が脳より先に反応するような、動物的な本能に近いものです。アートを購入する際にはこの直感に従って行動します。頭で考える購入のための特定ロジックはありません。

最も充実感が得られるときは、訪問者が作品を見に来たり、友人を連れて何度も展示会に足を運んでくれたりする時です。たとえば、メトロポリタン美術館のディレクターであるマックス・ホライン(Max Hollein)が人々をギャラリーに送ってくれることもあります。誰かがアートに感情的に反応してくれる体験を提供できるのは本当に素晴らしいことです。ある人たちは作品を見て涙を流すこともあります。そういう瞬間に、私はアートコミュニティへ貢献できていることを感じます。

【アーティストと共に働く価値】とは?

どのような学びがあるのか? 具体的なエピソードを交えながら、アーティストと向き合う仕事の醍醐味について教えてほしい。

シン氏:アーティスト一人一人が異なるため、常に異なることを学んでいます。特に忍耐力を学んでいます。アーティストのキャリアを築くには、多大な努力と時間、そして経済的なサポートが必要です。こうした投資にもかかわらず、認知度や売上が保証されることはありません。忍耐と柔軟性が不可欠なのです。
アーティストと共に働くことの醍醐味は、抽象的なアイデアが組み合わさり、現実に具現化される瞬間です。ギャラリーや美術館での展示会において、頭の中で描いていたイメージが実現するのは本当に感動的です。

ニューヨークのシン・ギャラリーにおける荒木経惟の展示風景

ニューヨークのシン・ギャラリーにおける荒木経惟の展示風景

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文=西村真里子

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