アート

2024.07.11 14:15

ニューヨークの革新的アートビジネス:SHIN GALLERYの挑戦

シン氏が自身のコレクション、バルテュスの「Adolescente Aux Cheveux Roux, 1947」と共に。ニューヨークのナッソーカウンティ美術館にて

【はじまりのストーリー】

まず、ニューヨークでギャラリーを始めるきっかけと、始めた当初、どのような大きな課題に直面したのかを伺った。
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シン氏:アートギャラリーを始めたきっかけは二つあります。まず、アーティストとの仕事が本当に好きだからです。才能あるアーティストを発掘し、埋もれていたアーティストを見つけ出し、彼らにふさわしい認識を与えることを行いたい、と。次に、作品を収集することが好きだったのです。私が最初に収集した作品は日本の浮世絵でしたが、ギャラリーを持つことで、より多くの情報にアクセスでき、アートを買ったり売ったりする機会も得られると思いました。埋もれていたアーティストとして今日ご紹介したいのは、デンマークのコペンハーゲン出身のエルゼ・フィッシャー=ハンセンです。このストーリーは後で共有します。

2013年、大学生の時にニューヨークでギャラリーを始めた当初は、クライアントが一人もいませんでした。誰を招待すればよいのかわからなかったため、オープニングイベントを開催するのがとても怖かったことを今でも覚えています。ギャラリーの運営費は非常に高かったので、ギャラリーに来る人一人一人と話し、作品を購入してもらうよう説得して、請求書を支払うために努力しました。その当時はギャラリーの地下に住んでおり、冬は暖房がなくて凍えるように寒く、夏は空調がなくて非常に暑かったです。バスルームでバケツを使ってシャワーを浴びなければなりませんでした。大変でしたが、そのすべての瞬間を楽しんでいました。

ニューヨークのシン・ギャラリーにおけるパーヴィス・ヤング(Purvis Young)の展示風景

ニューヨークのシン・ギャラリーにおけるパーヴィス・ヤング(Purvis Young)の展示風景

【関係の構築】

異国の街で前提知識のないアート業界に入り、どのようにして関係を築いていったのか? アートコミュニティで強固なつながりを築くために、最も効果的だと思う戦略や方法は?
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シン氏: ギャラリーを開設して間もなく、オークションハウスのクリスティーズから連絡がありました。クリスティーズでは3人の韓国のアーティストによるプライベートセールを行っていており、クライアントを探していました。当時、私のギャラリーでは主に韓国のアーティストを展示しており、クライアントが見つけられるだろうと思って連絡をして来たのだと思います。私がまだクライアントを持っていないことを知らずに……。

何か貢献できるかもしれないと思いクリスティーズの方に、プライベートセールに出される作品のプレビューを見せてほしいと頼んだところ、カクテルレセプションに招待されました。それが、私のレセプションデビューとなりました。クリスティーズの専門家の一人が私の話をとても楽しんでくれて、その後私のギャラリーを訪れてくれました。そして、いくつかの作品を購入してくれたのです。

その後もクリスティーズの方々を通じてアート界の方々に紹介され、できる限りの場所やイベントに顔を出しました。出会う人たちをギャラリーに招待し、訪れた際には作品について話をしました。オンラインで人を調べ、メールを送ってギャラリーに招待するなど、できる限りの時間と努力を注ぎ、一人一人に真摯に向き合い現在に至ります。

感謝祭にアンドレス・セラーノ(Andres Serrano)とローラ・マッティオリ(Laura Mattioli)と共に。 シン氏の自宅にて

感謝祭にアンドレス・セラーノ(Andres Serrano)とローラ・マッティオリ(Laura Mattioli)と共に。 シン氏の自宅にて

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文=西村真里子

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