欧州

2024.07.06 09:00

ロシア軍がチャシウヤールの東端地区を制圧 3カ月で10万人損耗、決定的な打撃困難に

そもそも、ウクライナ軍の第41独立機械化旅団、第67独立機械化旅団、第5独立機械化旅団、第5独立強襲旅団、そして第241領土防衛旅団を主力とする守備隊が、敵陣側に露出した突端だった運河地区でこれほど長く持ちこたえたことこそ、驚きかもしれない。

ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは5月下旬時点で、チャシウヤールは「いずれロシア軍の手に落ちるだろう」と予測していた。守備隊はそれから6週間も戦い続けている。

これには、米国のジョー・バイデン政権が4月下旬、ロシアに好都合な共和党議員による半年にわたる妨害をようやく乗り越え、ウクライナへの武器弾薬の供与を再開したことも寄与した。

また、ロシア側は人員の損耗を新兵でどうにか補えているとはいえ、これまでの大きな損害によって連隊や旅団の弱体化が進んでいる。これもウクライナ側の防御にとって助けになった。

ロシア軍は損耗ペースが速いために、訓練も装備も統率も不十分なまま、新たな部隊を前線に急いで送り込んでいる。ライアンは「ロシアは大規模な攻撃作戦を実施できるような、質が高く規模の大きい戦力を構築するのが以前より難しくなっている」と解説している。

もっとも、それはチャシウヤールの守備隊にとってはあまり慰めにならないかもしれない。全体的な状況や戦略がどうであれ、彼らはブロック単位の熾烈な戦闘を続けているからだ。チャシウヤールはロシア軍が前進を遂げている数少ない正面のひとつであり、運河の西側へとさらに占領地を拡大することを狙っている。今後、さらに過酷な市街戦が繰り広げられる可能性が高い。

ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は4日の作戦状況評価で「ロシア軍はすぐに、運河地区の自陣からシベルシキードネツ・ドンバス運河を渡ってチャシウヤール中心部に対する攻撃を始めるだろう」と述べている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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