モビリティ

2024.07.09 17:45

日本のお家芸が生きているハイブリッドeVTOL

プレスリリースより

電動式の垂直離着陸機(eVTOL)、いわゆる空飛ぶクルマが飛び回る日は近い。しかし三菱のスペースジェットの一件もあり、航空機開発で世界をリードするようにはなかなか思えない。そこに、2030年の販売を目指す、じつに日本らしいeVTOL開発計画が現れ、浮上試験を成功させた。そこには、ハイブリッドという日本のお家芸が生きている。

HIEN Aero Technologies(ヒエンエアロテクノロジーズ)は、純電動eVTOLの弱点を克服するeVTOLを開発している。ガスタービン発電機を備え、発電しながら飛行できるハイブリッド式だ。純電動式は航続距離や飛行時間を延ばそうとすれば大きくて重いバッテリーを搭載しなければならないが、ハイブリッドなら機体を軽くでき、荷室や客室を多くとることが可能になる。
2030年の販売を予定している6人乗りの「HIEN 6」

2030年の販売を予定している6人乗りの「HIEN 6」

レシプロエンジンを使ったハイブリッド型のeVTOLはすでに存在するが、ガスタービンエンジンは小さいので、システム全体をさらにコンパクトにできる。そのため、機体はスケーラブルで、将来、高性能で軽量なバッテリーが開発されたときには純電動にコンバートできるといった柔軟性がある。また、燃料は安価で入手しやすい灯油なので、災害発生時などでも運用がしやすい。
ガスアービン発電機「Dragon」

ガスアービン発電機「Dragon」

同社の強みは「圧倒的な開発のスピード感」だという。3月に浮上試験を成功させた無人機HIEN Dr-Oneは、構想から飛行まで2年弱しかかかっていない。法政大学理工学部機械工学科教授であり、法政大学大学院アーバンエアモビリティ研究所長、空の移動革命に向けた官民協議会の構成員などを務め、日本の小型航空機分野では先導的な立場にある代表の御法川学氏は、「日本で誰よりも早く、使えるeVTOLを市場に送りだす」と宣言している。

同社は現在、株式投資型クラウドファンディングサービスのイークラウドにて資金調達を行っているが、ガスタービン発電機とモーター、それに最適な電力を供給するソフトウェアを組み合わせた、既存のドローンにも搭載可能なハイブリッドシステムの販売で経営を安定させつつ開発を進めるとのことだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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