ユベントスの最高マーケティングおよびコミュニケーション責任者を務めるマイク・アームストロングは、筆者が先ごろ話を聞いた際に、「スポーツ業界は、最近のトレンドを踏まえて、アプローチを変革する必要がある。ユベントス・クリエイター・ラボは、業界では世界的に類を見ないものだ」と述べている。
ユベントスが、デジタルクリエイターのためのスペース創設を最初に発案したのは2022年のことだ。現在のラボは、イタリアのトリノにあるトップチームのトレーニングセンターのすぐ隣に設置されている。その四角い建物は、中も外も、クラブの伝統カラーである黒と白に塗られている。
とはいえ、この組織が目指すものは最初から明確だったが、目的達成のための「手段」をどうするか考えるのには、数カ月を要した。
「我々は、飛行機を飛ばしながら組み立てようとしていた」とアームストロングは明かす。
そもそものきっかけは、若い世代のサッカーファンが特定のクラブを応援する理由について、ユベントスが探ったことだった。大規模な調査によって、明確な答えが導き出された。それは「コンテンツ」だ。一方で、世界のサッカー観戦者たちは、90分間の試合以外の部分に、より関心を向けるようになっていることも裏づけられた。
「伝統的な放送局は試合をカバーする。しかし我々は、クリエイターたちからインスピレーションを得た。それは、選手に関するより良いストーリーを、より多く伝えるというものだ」とアームストロングは話す。「我々は、クリエイターが世界中で得ているリスペクトや成功に焦点を当てたいと考えた」
短期的に言えば、ユベントス・クリエイター・ラボが目指すのは、あらゆるレベルでユベントスのストーリーを伝えることにより、「トラフィックを増やし、ユベントスの全世界のファンベースに、より多くを提供する」ことだ。具体的には、男子チームだけでなく女子チームや、「ネクスト・ジェン(Next Gen)」と呼ばれるリザーブチーム、過去の所属選手、eスポーツチームを取り上げることだ。