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2024.06.28 12:30

米トイザらス、AI生成した動画広告が炎上 OpenAI「Sora」で作成

AIが生成した映像は間違いだらけ

AI生成された映像作品を見る際に最もおもしろい点の1つは、人の手が入っていれば絶対そうはならないという「機械っぽさ」を見つけ出すことだ。

トイザらスの広告にも、真っ二つに分断されて溶け合う自転車、ゆがんだ窓枠、父親とみられる人物の生気のない目つきなど、多くの手がかりがある。頭を巡らすチャールズ少年の動作はどうにも不自然だし、夢の世界に登場する棚にぎっしり詰まったおもちゃは形のいびつなものばかり。まるで夢の中で必死におもちゃの形状を思い出そうとしているかのようだ。

生成AIをめぐっては、水を大量に消費し電力網にも負担をかけるという指摘や、人間の創造的表現の価値を下げる恐れがあるとの批判があり、注がれる目が厳しさを増している。AI生成動画を推進するならばコストに見合う技術であると証明する必要があるのが現状だが、これまでのところ結果はかんばしくない。

クリエイティブな表現をAIによって自動化するというのは、人生をかけて技術を磨いてきたアーティストを軽視し、ばかにした振る舞いであり、その技術を買い叩き、作品を許可なくAIの訓練データとして使用するだけだとの見方がある。

X(旧ツイッター)には、「子どもの無限の想像力を題材にした広告を、魂のこもっていないAI生成コンテンツで描写するとは、なんとも皮肉なことだ」という感想や、「トイザらスが瀕死の状態から復活したときはみんな歓声を上げたが、今は誰もが地獄に突き落としたいと思っている。玩具業界全体に対するひどい仕打ちだ。それにもまして、想像力を駆使して遊ぶという発想そのものに対するひどい侮辱だ。関係者全員、恥を知れ」との批判が投稿された。

トイザらスのグローバル最高マーケティング責任者で同社制作部門トップのキム・ミラー・オルコはプレスリリースの中で、この広告は革新的だと主張。「チャールズ・ラザラスは時代を先取りした、先見の明のある人物だ。われわれは最先端のテクノロジーを駆使したスポット広告で、その功績をたたえたいと考えた」「当ブランドはイノベーションとエモーショナルアピールを活用して、思いがけない方法で消費者とつながろうと試みている。ノスタルジックな感覚をつかまえて、他に類のない形であらゆる年齢のトイザらスキッズに届けることを目指している」と語っている。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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