ニュースサイトPirate Wiresは6月17日、トランプコインがトランプによるものだと伝えた。Pirate Wiresは、ピーター・ティールの投資会社ファウンダーズ・ファンドの副社長のマイク・ソラナが運営するサイトだ。
Pirate Wiresのアカウントは17日、「情報によれば、トランプは公式トークンのDJTを立ち上げている」と投稿し、このトークンをトランプの18歳の息子バロンが「主導している」と付け加えた。ソラナは、この情報を「スクープだ」と述べたが、彼はトランプと直接話をしておらず、情報筋を通じて知ったとした。
この投稿を受けて、2カ月前にローンチしたばかりのDJTの価格は約300%急騰し、トレーダーは、「トランプ陣営が本当に関与していることが確認されれば、価格はさらに上昇するだろう」と予測した。
しかし、その後、2017年に証券詐欺で有罪判決を受けたマーティン・シュクレリが、このコインに関与していることが報じられると、DJTの価格は暴落した。シュクレリは、製薬会社のCEOを務めていた時代に、HIV感染者が必要とする医薬品の価格を釣り上げ、「米国で最も憎まれた男」と呼ばれていた。2022年に釈放されて以来、彼は暗号資産のインフルエンサーとして活動している。
シュクレリは、最初はこのトークンへの関与を否定していたが、後に匿名のブロックチェーン探偵ZachXBTに送ったリークされたメッセージで、自身がDJTの背後にいることを認めた。このことが投資家の不信感を招き、DJTの価格は急落した。
一方で、暗号資産メディアのDL Newsは20日の記事で、トランプ陣営の関係者が、このコインへの関与を否定したと報じた。
トランプは、以前はビットコインなどの暗号資産に否定的だったが、今年に入り暗号資産業界に歩み寄る姿勢を見せており、5月下旬にトランプ陣営は、暗号資産による政治献金の受付を開始したと発表した。また、今月初めにトランプは、シリコンバレーの投資家のデビッド・サックスとチャマス・パリハピティヤが主催する資金調達イベントで暗号資産の魅力をアピールし、「暗号資産の大統領になる」と述べていた。
一方、トランプ陣営に暗号資産関連の助言を行うビットコインマガジンのCEOのデビッド・ベイリーは、「Pirate Wiresの主張が誤りであれば、トランプを怯えさせ、暗号資産から手を引かせる可能性がある」と警告した。
「このコインが偽物なのであれば、それを広めた人はこの業界から永久に追放されるべきだ」とベイリーはX(旧ツイッター)に投稿し、この件が業界全体のイメージの悪化につながると語った。
(forbes.com 原文)