それらは今からわずか5年前のことだ。その後、このテクノロジーは十分に成熟し、コモディティ化が進んだため、今では通常の携帯電話とあまり変わらない価格でプレミアムな折りたたみ式携帯電話を手に入れることが可能になった。
その一例に挙げられるのが中国の深センのOEM(受託製造)メーカーであるBlackviewが発売した折りたたみ式スマホだ。「Hero10」と呼ばれる同社の二つ折りのフリップ式スマホの希望小売価格はわずか400ドル(約6万2600円)となっている。
この端末は、6.9インチの120Hz、2.5K OLEDスクリーンを搭載しており、半分に折りたたむと小型の財布ほどのサイズになる。
メインの折りたたみ式ディスプレイの性能は良好だが、最大輝度での明るさは大手メーカーの最近の端末よりもやや暗い印象だ。チップは、廉価版スマホでおなじみのMediaTekのHelio G99を搭載しているが、カメラに関しては、評価が高いサムスン製の108メガピクセルのものを使用している。バッテリー容量は4000mAhと、折りたたみ式スマホとしてはかなりの大容量だ。
折りたたみ式スマホで最も重要なのはヒンジとディスプレイだが、少なくとも筆者がテストした端末は、数百回折りたたんだり開いたりしても問題なく動作した。しかし、筆者の知人は、彼の端末は折りたたむ際にヒンジ部分でごくわずかなきしむ音がすると教えてくれた。Blackviewは大手ブランドのような研究開発予算を持たない小規模なメーカーだ。
一方、ソフトウェア(Android 13)については、ピュアのAndoroid OSを使用しており、まったく問題がない。また、ヒンジのおかげで、スマホを途中で固定できるため、UIを活かして小型のノートパソコンのように使うこともで可能だ。
総合的に見て、Hero 10の最大の魅力は折りたたみ式スマートフォンとしては非常に低価格な点だ。小規模なブランドから購入する際のリスクを許容できるのであれば、この端末は検討する価値があるものといえる。
(forbes.com 原文)