国際展開している英会計事務所グラントソントンのポーランド支社が公表した報告書によると、ポーランドの中堅・大企業幹部の半数弱(48%)がユーロ圏加盟に賛成しており、反対は42%、未定は10%だった。回答者のユーロ導入支持率は昨年の54%から低下したが、40%前後で推移していたそれ以前の3年間よりは高くなっている。ユーロ導入に対して最も好意的なのは従業員数250~499人の中堅企業の幹部で、51%が導入を支持。一方、500人以上の従業員を抱える大企業では、ユーロ支持率は昨年の59%から今年は33%に落ち込んだ。
報告書は、ギリシャに端を発した欧州債務危機のあった2010年頃と、ユーロが低迷から脱した2019年には、調査対象となった中堅・大企業幹部の85%以上がユーロ圏への加盟を支持していたと指摘。こうした過去の状況と比較すると、現在のユーロ導入に対する支持率は低迷しているように見えるものの、安定している。経済界は支持と不支持が同じような割合で真っ二つに分かれており、変動はあまり見られない。
ポーランド雇用主協会のカミル・ソボレフスキ主任エコノミストは、起業家の意見は社会的分断を反映していると指摘し、昨今の危機や地政学的緊張のほか、EUの規制に対する批判的な評価の結果でもあると説明した。
ポーランド国営世論調査センター(CBOS)が先月実施した世論調査では、国民の49%がユーロを導入すべきではないと考えていることが明らかになった。ユーロ導入に賛成を示した回答者のうち45%は今後3年以内に、22%は10年以内に、10%はそれ以降に導入すべきだと考えている。
ポーランドのアンジェイ・ドマニスキ財務相は4月の時点で、ユーロ圏への加盟を目指してはいないと表明した。その上で、同国は自国通貨ズロチを維持することで、世界金融危機による景気後退を回避するなど、ズロチが「経済危機を緩和する上で重要な役割を果たした」と強調した。
先述のソボレフスキ主任エコノミストは、ユーロ圏加盟に向けた計画を立てるのは良いことだとしながらも、単一通貨導入に関する話は今のところ机上の空論に過ぎないというドマニスキ財務相の意見に同意。「わが国はインフレ率や金利、財政赤字、為替相場の安定といった基準を満たしていない」と指摘した。
(forbes.com 原文)