フィギュア人気の波に乗ってPOP MARTは世界の複数のブランドと提携したが、最も注目すべきは独自のキャラクターを作り出したことだ。「ご当地もの」を展開するために各国のアーティストの起用を増やし、同社が「ブラインドボックス」と呼んでいる、中身が見えないカプセルに謎のフィギュアが入ったミステリーボックスで市場を開拓した。
急成長を続けているファストファッションのShein(シーイン)から、アマゾンのライバルであるAlibaba(アリババ)、ディスカウントECサイトのTemu(テム)まで、グローバル展開する中国小売企業が続々と米国市場に進出する中で、POP MARTは最新の参入企業となる。同社はこのほど、2023年通期の売上高は8億7100万ドル(約1360億円)、純利益は1億6500万ドル(約260億円)だったと発表した。
世界で450店を超える店舗と2300の「ロボショップ」(自動販売機)を展開する同社は、昨年9月には上海にテーマパーク「POP LAND」をオープン。モバイルゲーム分野への参入も計画している。また、アニメスタジオを新設する計画を発表し、北京の798芸術区に若者向けの現代アート展示施設「Inner FlowFlow Gallery」を開設した。
POP MARTは現在、米国を含む30カ国で事業を展開している。不動産担当の上級副社長ルイス・バリエントスによると、米国には現在8店舗あるが、年内にさらに10店舗増やす。まずは200店舗展開を目指しているという。
同社は2010年に、当時大学生だったワン・ニン(王寧)が北京で立ち上げた雑貨店としてスタートした。経営は苦しく、エンジェル投資家のマイ・ガンから出資を受けた。その後、若者がどんな収集グッズを買っているかSNSで調べ、2015年に雑貨からデザイナーズトイに軸足を移すことにした。