ウィリアムの失踪事件は当時徹底的に調査されたが、20年以上も未解決事件だった。だが、そんな2019年、グーグルアースを使って昔の近所を散策していた男性がある奇妙なものを発見した。以前住んでいた家の隣にある湖に、水没している自動車があったのである。地元の人とドローンの助けを借りてその事実は調査された。そして、20年以上もウィリアムの骨をその内部に隠していた白い自動車が、ついに姿を現したのだった。
実は行方不明者専門データベース「チャーリー・プロジェクト」が、データ上ではだが、衛星画像ですでに2007年からその車を捉え得ていたという。地元当局は、ウィリアムが車の制御を失い、湖に転落したのではないかとみているが、この仮説を裏付ける先行証拠はない。今回の発見は、ウィリアムの家族にとって、捜査に一旦収拾をつけるものとなったが、ウィリアムの失踪当時の状況は未だに明らかにされておらず、時がいくら経過しようと行方不明者であることが確認されただけであった。警察の広報担当者テレーズ・バーベラは以下のように述べる。「我々が知り得るのは、彼が行方不明になり、そして今、発見されたということだけです」。
この事例は、たとえそれが長らく解明できなかったものであっても、暗礁に乗り上げた事実を明らかにするテクノロジーの力を痛感させるものである。謎が謎のまま解明されないことがある一方で、グーグル・アースの注意深い観察は、時に予期せぬ方面から、奇妙な方向から私たちにヒントを示してくれるのである。
※本稿は英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」2024年5月13日の記事から翻訳転載したものである)