ウクライナ、ノルウェー、オランダ、デンマーク、ベルギー各国の当局者による1年以上にわたる精力的な外交努力の結果、ホルブツォウは念願の4個飛行隊を編成できる運びになった。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は28日、ベルギーから余剰のF-16が30機ウクライナに供与されると発表した。これにより、ウクライナが今夏以降受け取ることになるF-16の総数は85機に増えた。
85機あれば、現在ルーマニアに派遣されているウクライナのF-16訓練部隊(オランダ供与の18機を使用中)に加え、4個飛行隊(各16機配備)をつくることができる。残り3機は、戦闘で不可避の損失を補うための予備に回されると考えられる。
ホルブツォウは昨年5月のインタビューで、戦闘機64機体制の4個飛行隊(米空軍の1個戦闘航空団に相当)があれば、ウクライナは一時的にせよ局所的な航空優勢を達成できるとの考えを示していた。
「作戦全体の立案ということであれば、少なくとも1個飛行隊、つまり最低12〜16機の航空機について話す必要があるでしょう。(中略)少なくとも3〜4個の飛行隊があれば、どこかの方面で航空優勢をとれると思います」(ホルブツォウ)
ウクライナに供与されるF-16は、1980年代に製造され、1990年代後半から2000年代前半にかけてノルウェー、オランダ、デンマーク、ベルギー各国の空軍によって共通規格に改良されたものだ。比較的新しいレーダーを搭載し、さまざまな精密弾薬やジャマー(電波妨害装置)に対応している。
これらのF-16は対レーダーミサイルや衛星誘導の滑空爆弾によって、ロシア軍の防空網を制圧したり、補給線を攻撃したりすることも可能だろう。ただ、ホルブツォウは昨年時点で、AIM-120空対空ミサイルを搭載するF-16について「敵(ロシア軍)に対して、現在、一部の地域で行っている攻撃の完全な放棄を強いることができるでしょう」と述べ、最も重要な目標は空中目標になるとの見方を示している。