ただし、その利便性を享受するには重要な条件が1つある。決済アプリと紐づけられる中国の銀行口座が必須で、中国金融機関の利用者でなければならない。
これはシステムのバグではなく特徴だ。中国政府は、国内のハイテク企業や大手銀行による強力なデジタル金融サービス産業を発展させようとしている。中国の決済はこれまで世界の金融システムと包括的に統合されてはいなかったが、一部では徐々に変わり始めている。
中国を訪れる外国人は、小売店でのスムーズな支払いができず不便な思いをしてきた。現金で払おうとすると冷たくあしらわれることが多く、外国で発行されたクレジットカードやデビットカードでの支払いは受け付けられないこともある。
中国政府は自国のシステムと国際金融システムの垣根を減らすことを政策としてめざし、外国人が支払い時に経験する面倒に対処すべく取り組んでいる。と同時に、当局は現金払い拒否の取り締まりも行っている。これはとりわけ高齢者に大きな影響を及ぼしそうだ。