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2024.05.23 16:45

漢方もDX 患者に応じた診断支援AI

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漢方の専門医でなくても、患者の要望によって、または効能を認めて漢方薬を処方する医院が増えている。しかし漢方薬は種類が多く、とくに患者の体質や体力や症状を詳しく調べて適切な薬を選び出す必要があり、それには相当な知識や経験を要する。そこをAIで助けようという、医療機関向けの漢方薬診断支援プログラムが登場した。

「漢方理論」のDXを進める漢方テック企業VARYTEX(ヴァリテックス)は、全国の非漢方専門医342人を対象に漢方薬に関する調査を行ったところ、漢方薬を処方している医師は87.4パーセントあった。しかし、その8割以上が漢方薬の処方に対して悩みを抱えている。正しい処方ができているか不安、種類が多くて覚えられない、などだ。
漢方医は、四診という4つの診断方法で患者に適した薬を選ぶ。本人や家族から聞き取りを行う「問診」、目で見る「望診」、音や匂いをみる「聞診」、手で触る「切診」をとおして、その人の体質や体の状態を表す「証」を判断する。同じ症状でも、体質や体力によって治療法が異なるというのが漢方の考え方だ。一般の臨床医にとって、西洋医学の知識を詰め込んだ上に、こうした漢方理論を学ぶのは至難の業だ。

そこでVARYTEXは、AIの助けを借りて患者のデジタル問診から証を判断してくれる漢方業務支援ソフトウェア「KAMPO365works」を開発し、5月末に販売を開始する。日本東洋医学会と共同で開発されたこのソフトウェアは、デジタル問診のデータから、日本東洋医学会の『漢方医学大全』などをもとにしたアルゴリズムで、瞬時にして証を解析し、最適な漢方薬の候補を示すというものだ。
VARYTEX公式ホームページより(試験販売中のイメージ)

VARYTEX公式ホームページより(試験販売中のイメージ)


プログラム医療機器(SaMD)を目指して今後も開発を続けるが、当面は、厚生労働省医薬・生活衛生局の『プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン』に沿った非医療機器として、SaaSの形で販売される。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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