北米

2024.05.17 12:00

米軍が「レーザー兵器」を配備し中東でドローン破壊 イスラエルも本格導入へ

しかし、これらの兵器はフーシ派の攻撃からの防御に有効であるにも関わらず、紅海での戦闘にはほとんど使われていないと海軍水上部隊のトップのブレンダン・マクレーン副提督は1月に語った。レーザー兵器の実戦配備が遅々として進まないことは、「もどかしい」と彼は述べていた。

一方、高出力のマイクロ波兵器は、射程距離が短いという欠点もあるが天候に左右されない点がメリットだ。南カリフォルニアのスタートアップEpirus(エピラス)は、陸軍との6600万ドルの契約で受注したレオニダスと呼ばれる防御システムのうちの、最後の2つを間もなく納入予定だ。このシステムは基地の周囲から数百ヤード離れた場所にエネルギーの「壁」を作り、ドローンによる攻撃を防ぐことが可能で、平均的な飛行場の防御には、このシステムが6台必要だとエピラスは述べている。

米国防総省は、ロッキード・マーティンやゼネラル・アトミックス、エヌライトなどの企業の、300キロワットレベルのより強力なレーザーの研究にも資金を提供している。


イスラエルのレーザー兵器に資金援助

米国はまた、イスラエルの取り組みにも投資を行っており、先月議会が可決したイスラエルへの軍事援助パッケージには、Iron Beam(アイアンビーム)と呼ばれる指向性エネルギー兵器の開発資金として12億ドルが含まれていた。このプロジェクトは、イスラエルの防衛請負会社Rafael(ラファエル)が開発した100キロワットのレーザーを、ロケットや無人機を打ち負かすために使用するものだ。

イスラエルは、このレーザー兵器を来年末までに実用化することを望んでおり、米国防総省は開発中のシステムの代替案としてこれに関心を持つ可能性があると、ブッシュは昨年記者団に語っていた。

一方、米国防総省が現在のレーザープロトタイプのいずれかを大規模に実戦配備することを決定した場合でも、大量生産にこぎつけるまでには時間がかかる可能性がある。防衛分野のシンクタンク「エマージング・テクノロジー・インスティテュート(ETI)」は今年1月、この分野の光学部品などの主要部品を製造している企業は、限られており、需要の急増に対応できないと警告した。ETIは、米国防総省が産業界に準備のための投資を求める「明確なシグナル」を送らなかったことを非難した。

ブッシュはまた、限られた予算と、議会での差し迫った優先事項の多さも障害になると述べている。「言わば、すべてが他のなにかと競合しているような状況だ。しかし、事態を前に進める可能性があるのは、脅威が深刻だということだ。中東で我々が直面している現在の脅威に対して、これらの軍事システムが機能することを明確に示せれば、米国防総省との会話が前に進むかもしれない」とブッシュは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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