地域を変革するキーマンである「スモール・ジャイアンツ イノベーター」の対談企画として、開設10周年を迎えた岡崎ビジネスサポートセンター・オカビズで行った公開インタビューの後編をお届けする。
1個約3000円で売れる「缶」を生み出した側島製罐(愛知県大治町)代表取締役で6代目アトツギの石川貴也と、オカビズの初代センター長で事業創出家の秋元祥治に、ヒットを生み出す秘訣を聞いた。
100年の歴史、新たなビジョンのもとに誕生
──爆発的に売れた「Sotto 親子の絆を深める缶」は、どんなアイデアから生まれたものですか。石川:オカビズで秋元さんに初の自社商品開発をお手伝いしていただき、缶は自分が思っていた通り「100円じゃなくても売れる」という確信を得られたことが、伏線になりました。
そこからみんなでミッション、ビジョン、バリューを決めつつあった中で、それらを体現するようなプロダクトがほしいと突き詰めて「Sotto」が生まれたわけです。
缶だけではただの収納容器ですが、この商品は親子の絆を深める缶がコンセプトになっています。そもそも大事なものをしまうという文化が日本の中にあり、僕らもそれを大事に繋いでいきたい。この中には子どもが誕生した時の思い出の物を入れてもらえたらと思っています。
大事なものを入れる缶作りを100年続けてきた僕らが、「宝物を託される人になろう」というビジョンを掲げているからこそ作れるプロダクトなんじゃないかと考えてたどり着きました。
──弊誌の藤吉編集長から質問を預かっています。石川さんは、アイディアをヒットに繋げていくために何か続けられてることはありますか。
石川:普段から意識していることは、自分の考えや感じたことをアウトプットすることです。1日に1000字くらいは、言語化作業を頑張ってやっているつもりです。
その中で、心掛けていることの1つは、血の通った自分だけの言葉を使うこと。ビジネス書で聞きかじった言葉は冷たく感じることが多いし、そもそも自分の言葉とは言えないのであまり使わないようにしています。
2つ目は、血の通った言葉を使うために、言葉をデザインする力をつけることです。情報だけではなく、体温も伝えるのがコミュニケーションの本質だと思っているので、血の通った言葉でコミュニケーションをとるために、言葉をデザインする力をつけることを意識しています。
3つ目は言葉の力を信じること。言葉で「できるできる」って毎日繰り返し言っていると、思想も変わってくると思いますし、それに伴って行動も変わってくると思っています。