露国防省は国営タス通信に対し、ロシア軍のミサイル部隊と空軍、海軍が訓練の一環として「非戦略核兵器」の配備を演習すると説明。今回の訓練は、一部の西側の首脳による「ロシア連邦に対する挑発的な発言や脅迫」に対して実施すると述べた。同省は、演習は「近い将来」実施されるとしながらも、具体的な日程については明らかにしなかった。今回の発表の翌日には、プーチン大統領の5期目の就任式が予定されている。
戦術核兵器と戦略核兵器の決定的な違いは、その大きさと用途だ。戦術核は通常、戦略核より小型の弾頭で威力は小さく、人口密集地ではなく戦場の標的に対して使用することを想定している。米国務省が先月公表した報告書では、核兵器の使用は紛争の本質を根本的に変えてしまうとして、米国はもはや「戦術核兵器」という用語を使用せず、「非戦略的」という言葉は「誤用」だとしている。米国のジョー・バイデン大統領は2022年、ウクライナに核兵器を配備しないよう、ロシアに警告していた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は今年2月、北大西洋条約機構(NATO)の地上軍をウクライナに派遣することも「排除しない」と発言した。これを受け、プーチン大統領は同月下旬に開かれた年次演説で、欧米諸国がウクライナへの軍事介入を試みた場合、核攻撃も辞さないと表明。核戦争が起これば「文明の破壊」につながると警告した。これは、2022年2月のウクライナ侵攻開始以来、プーチン大統領が最も露骨に怒りを表した発言となった。その1カ月後に行われたインタビューで同大統領は、ロシアの核兵器は「常に戦闘態勢にある」と述べ、自国の存立が脅かされ、主権と独立が侵害された場合に使用すると威嚇していた。
(forbes.com 原文)