逮捕者の大半は罪に問われても軽罪とみられるが、当局によるとコロンビア大で建物を占拠したデモ参加者は重罪に問われる可能性がある。
コロンビア大では30日未明までにデモ参加者の一部がキャンパス内のハミルトン・ホールに押し入って占拠。同日夜、ニューヨーク市警察の多数の警官が建物内に突入し、デモ参加者を強制排除していた。
ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は記者会見で、コロンビア大で逮捕されたデモ参加者のうち、何人が同大の学生で何人が「外部の扇動者」だったのかはニューヨーク市警が調査中だと説明した。ハミルトン・ホール内に学生が立ち入ったのは確かだとしつつ、この建物を占拠する行動は「大学と無関係の者たちに指揮されていた」と主張した。
ハミルトン・ホール内で逮捕されたデモ参加者40〜50人は、逮捕者のなかで最も重い罪に問われる可能性がある。アダムスは問われる可能性のある罪として押し込み、不法侵入、器物損害を挙げた。最終的にはマンハッタン地区検事局の判断になる。
ニューヨーク州の量刑ガイドラインによれば、押し込み罪はD級の重罪で、有罪と認められた場合は最長7年の禁錮刑が言い渡される可能性がある。
第3級不法侵入罪はB級の軽罪で、通常は罰金や社会奉仕活動、保護観察処分で済むが、最長90日間の禁錮刑が科されることもある。
器物損害罪は、250ドル(約3万9000円)未満の財産の損壊であれば軽罪となり、最長364日の禁錮刑。250ドル以上の損害であればE級の重罪、さらに1500ドル(約23万円)を超える損害になればD級の重罪に格上げされ、前者では最長4年の禁錮刑、後者では同7年の禁錮刑を受ける可能性がある。
ただし重罪に問われても、初犯者や19歳未満の「青少年犯罪者」の場合は、禁錮刑でなく保護観察処分になる可能性もある。
コロンビア大の建物内ではなく、テントを張っていた芝生で逮捕されたデモ参加者の場合は、訴追されても、問われるのは必ずしも禁錮刑を伴わないより軽微な軽罪かもしれない。ニューヨーク市警察のカズ・ドートリー副本部長(オペレーション担当)は4月30日夜の記者会見で、これら屋外のデモ参加者は不法侵入と治安紊乱行為の罪で訴追されるだろうと述べている。
マンハッタン地区検事局はコロンビア大とニューヨーク市立大のどちらの逮捕者についても、起訴手続きを進めるかどうかコメントしていない。フォーブスはコメントを求めたが回答はなかった。
建物を占拠した学生は「退学処分」
学生のデモ参加者の多くは大学側からも処分を受ける可能性が高い。コロンビア大の広報担当ベン・チャン氏はフォーブスの取材に、大学側が設けた期限の4月29日午後2時以降も抗議キャンプ地にとどまった学生に対して、停学処分を下し始めたことを認めた。4年生が停学処分を受けた場合、卒業資格も失うことになる。チャンは、ハミルトン・ホールの占拠に加わった学生は「退学処分を受けることになる」とも述べた。
コロンビア大は4月30日、アッパーマンハッタンのキャンパスを一部の学生や教員を除いて立ち入り禁止にした。ニューヨーク市警に対して、卒業式の2日後の5月17日までキャンパス内に引き続き駐留することも要請したという。
(forbes.com 原文)