起業家

2024.04.30 20:00

次世代の起業家たちが見せた未来への希望|RISING STAR Meet-up 2024

Forbes JAPANが主催する、創業3年以内のスタートアップ起業家・経営陣を対象としたイベント「RISING STAR Meet-up 2024」が4月25日、東京・恵比寿ガーデンプレイス内のザ・ガーデンホールで行われた。2019年のプロジェクト開始以来6回目となる今回は、RISING STAR COMMUNITYのメンバーと一般参加者を合わせて約380人のスタートアップ関係者が一堂に会した。
 
ピッチイベントは、次世代ユニコーンの可能性を秘めた起業家が登場する「一般部門」に加え、昨年に続き日本の地域課題に取り組む起業家を対象とした「地域スタートアップ部門」を実施。100社以上の応募のなかから一般部門で7社、地域スタートアップ部門で3社が事前審査を通過し、ピッチに臨んだ。
 
一般部門では、生成AIの普及によって注目を集めるロボティクスや半導体、さらに脱炭素や医療、エンタメといった幅広い分野のスタートアップが名を連ね、2人が受賞した。
 
1人目は、「Z世代向けマーケティングカンパニー」を標榜するGOKKOの田中聡が受賞。同社に所属するクリエイターが制作したTikTokなどの縦型ショート動画は、累積動画再生数が約30億回、1動画あたりの平均再生数が約267万回に達している。トヨタ自動車や日本航空などの大企業をクライアントに抱え、事業は急速に拡大中だ。「縦型の短尺動画という新しい領域でトップに躍り出るという、とてもスタートアップらしい活躍。わくわくするチャレンジだと感じる」と、審査員を務めた山中卓(i-nest capital)が講評した。
 
2人目は、ダイヤモンド半導体の開発に取り組む、大熊ダイヤモンドデバイスの星川尚久だ。ダイヤモンド半導体はシリコンなどを素材とする既存の半導体と比べ、高出力・高周波、高温耐性、低消費電力といった特性があり、将来的に幅広い産業領域での活用が期待されている。その基盤設計から組み立てに至るまで、一気通貫した製造ノウハウをもつのが同社の強みだ。審査員の宇佐美篤(東京大学エッジキャピタルパートナーズ)は、「素材系のビジネスを成長させるのは長い時間と莫大な資金を要するが、日本発の技術でグローバルな一大産業を築いてほしい」と話した。
 
地域スタートアップ部門は、森に遺骨を埋葬する「循環葬」のサービスを提供するat FORESTの小池友紀が受賞。審査員を務めた林龍平(ベータ・ベンチャーキャピタル)は、「お墓は地域が抱える大きな問題。人口の構造上、日本は多死が進む。そんななかで遺族との接点など死後の選択肢を増やす、素晴らしいビジネスアイデア」とコメントした。
 
ピッチイベントに登場した起業家は次のとおり。(敬称略)

RISING STAR AWARD 2024 一般部門

FingerVision 濃野友紀

「視触覚センサー」を搭載したロボットシステムを開発、人手不足などの課題をもつ食品加工業で導入が進む。「愚直に現場でユーザーのニーズに向き合っている。ユースケースが生まれてきたので、今後はライセンス供与などを通じビジネスを拡大していく」(濃野)
 
GOKKO 田中聡

縦型ショートドラマクリエイター集団。2022年の設立から2年で年間売上高が2億円を突破した。「ショートドラマをムーブメントではなく文化にする。“縦型ショート動画のNetflix”を目指す」(田中)
 
リバスキュラーバイオ 大森一生

血管内皮幹細胞を用いた独自の治療技術の開発により、難治性疾患の治療を実現する。「革新的な細胞治療を、日本から世界の患者さんへ届けたい」(大森)
 
大熊ダイヤモンドデバイス 星川尚久

次世代半導体として有望視される「ダイヤモンド半導体」の開発に取り組む。「東日本大震災を経て磨かれた技術で、世界の半導体産業をリードしたい」(星川)
 
BALLAS 木村将之

建設部材の調達を効率化するマッチングプラットフォームを提供。「建物を建てるというのは、千年単位の歴史のある領域。時代に合わせた業界の進化を促していく」(木村)
 
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文=加藤智朗 写真=大星直輝

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