欧州

2024.04.30 10:30

ウクライナの新作ドローン「ニンジャ改」、ロシア領に1000km忍び込む

軽量スポーツ機「スカイレンジャー・ニンジャ」。2020年6月、チェコのプシーブラムで(Nadezda Murmakova / Shutterstock.com)

ウクライナは、これまで知られていたものとは別の軽量スポーツ機を長距離攻撃ドローン(無人機)につくり変えたらしい。その一機は、ウクライナとの国境から1000km離れたロシア領内に墜落したと報告されている。別の軽量スポーツ機を改造した自爆型ドローンによる最初の攻撃と、同じくらい深くロシア国内に入り込んだもようだ。

先週、ロシアのプロパガンディスト、キリル・フョードロフがソーシャルメディアで拡散させた写真には、墜落したDIYドローンがロシアの平原に逆さまに転がった姿が写っている。機体はフランス設計の軽量スポーツ機「スカイレンジャー・ニンジャ」を改造したものだ。ニンジャは現在、ウクライナのキーウに本社を置くアエロス(Aeros)社がライセンス生産しており、組み立て済みか、購入者が自宅で組み立てるキットで販売されている。

ニンジャの航続距離はおよそ640kmで、巡航速度は時速約160km、積載可能量は数百kgとなっている。テストパイロットのダン・ジョンソンは「性能が良く、操縦も快適だ」と評している

ニンジャを改造したドローンの形状やサイズ、性能は、ウクライナのアエロプラクト社の軽量スポーツ機「A-22」を改造したドローンと似ている。A-22改造ドローンの少なくとも1機は4月2日、ウクライナとの国境から1000kmかそこら離れたロシア西部エラブガにある経済特区の敷地に突っ込み、イラン設計の自爆型ドローン「シャヘド」の工場か付近の施設を損傷させている。

フョードロフが共有した写真の残骸を細かく見ると、ニンジャ改造ドローンの仕組みがだいたいわかる。機体前方には電子光学センサー(つまりビデオカメラ)用のターレット(回転式の台座)が取り付けられている。操縦士は衛星経由でカメラと接続し、飛行の最後にドローンを目標に誘導するのだろう。

6時間におよぶとみられる自律航法はおそらく、GPS(全地球測位システム)によって支援される。

機体は腹の下のハードポイント(構造が強化された部分)に重量100kgのFAB-100汎用爆弾を装着している。キャビン内に爆発物を載せるとみられるA-22改造ドローンの場合と違って、ニンジャ改造ドローンは爆弾を投下して基地に戻ってくることもできるのかもしれない。つまり、再利用可能なのかもしれない。

とはいえ、ウクライナの設計者たちが繰り返しの利用を想定しているのは疑問だ。ニンジャは約75Lのタンクの燃料で約640km飛べるから、片道では320kmということになる。だが、墜落したニンジャ改造ドローンは少なくとも1000km飛行していた。
次ページ > ウクライナはこのドローンも密かに多数製造している可能性

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事